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 ◇  期末試験の結果は悲惨だったけど、なんとか進級できるらしい。ミネットは試験勉強を理由に先輩を避け続けていたから、卒業式の日は顔を合わせることさえ久しぶりだった。  校舎の中央にある庭には、夏から秋にかけて咲く花が瑞々しく咲き誇っている。   「レヴリー先輩、ご卒業おめでとうございます」 「ありがとう。……寂しくなるね。ミネットと一緒に過ごした時間は長かったから」  ああ、やっぱりなんて素敵な人なんだろう。数週間ぶりの先輩は少し痩せて、疲れているようにも見える。  ただそれさえも彼の凛々しい美貌を際立てていた。少し伸びた紺碧の髪がさらりと目元にかかり、どこか色気のある陰を落とす。  卒業試験はただの期末試験より重みがあり、大変だったのだろう。全員が頑張ったに違いないのに、ぶれずに首席を守り続けたのだから本当にすごい人だ。 「……っ先輩! あの……あの。先輩のローブ、僕にいただけませんか?」 「…………!」  ミネットは告白をしない代わりに、ひとつのお願いをした。  卒業生は卒業式のあと、学校指定のローブを仲のいい人と交換する伝統がある。自分はまだローブが必要だからあげられないけれど、最後に先輩のものが欲しい。  同学年でも人気のある先輩は、もう誰かと交換してしまっただろうか? 不安になって眉を下げたまま、正面を見上げる。 「無理、でしょうか……」 「そんなわけない! 嬉しくて……最近避けられていたから、もう嫌われてしまったのかと」 「まさか! あの……僕も寂しくて。先輩が卒業して会えなくなると思ったら、現実を受け入れられなかったんです」
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