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 成長と同時に買い替え、綺麗に手入れもされているけれど、先輩が数年使ったはずのローブだ。長さ以外自分のものと同じはずなのに、手の中にしっとりした重みと、先輩の優しい匂いを感じる。    先輩の存在を一番に感じられるものをもらってしまった心地だ。目の奥がじわっと熱くなる。  だめだ、やっぱりつらい。悲しい……。ミネットは浮かんでくる涙を堪えようと必死になって、つい言わなくていいことまで言ってしまった。 「あ……ありがとうございますっ。レヴリー先輩、卒業したらすぐご婚約されるんですよね?」 「っ……えっ!?」 「おめでとうございます。僕、家族が増えるの……嬉しいです。楽しみにしていますね」 「か、家族……」 「では。列車の時間があるので、これで失礼します」  そそくさと背を向け、寮に向かって歩き出す。顔を真っ赤にしてまで耐えた涙がぽろぽろと頬を流れていく。  でも、これでいい。先に泣いておけば、先輩が実家へ挨拶に来たとき、笑顔で出迎えられるはずだ。  夏の終わりを感じさせる涼やかな風が吹いている。ミネットを慰めるように、緑の中で色とりどりの花が揺らめいていた。
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