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「ミネットも背が伸びた! でも、痩せちゃったんじゃない? 儚げで綺麗さは増してるけど……体調大丈夫なの?」 「ああ……うん。それより、カルミナ。リヨン男爵家の次男と結婚するんでしょう?」 「はぁ? まさか! 私はまだ結婚したくないもの」 「えっ」  その返答は予想と大きく異なるものだった。リヨンはレヴリー先輩の家名だ。  カルミナは、この婚約を望んでいないってこと……?    ミネットはすばやく考えた。先輩や両親が望んでいても、妹が望んでいないなら自分は妹を応援したい。    だって、やっぱり先輩のことが好きなのだ。綺麗さっぱり諦めようとしても、休暇に入ってから思い出すのは先輩のことばかり。  格好良くて優しくて、ユーモアもあって……マントは厳重に保管してあるが、監督生バッチは毎日矯めつ眇めつ手の中にある。 「私、さいきん葡萄の品種改良に熱中しててね。農家の娘さんがまだ小さいんだけど、アルファで。それで……」 「カルミナ。僕は協力するよ! だから、僕にも協力して!」 「え?」  ミネットは僅かな可能性に賭けることにした。先輩が挨拶に来るのは五日後。この縁談が破談になってもいいと覚悟さえすれば、自分がカルミナのふりをして会えばいいのだ!    それで、なんとか先輩を誘惑して……妹じゃなくミネットでもいいと言わせることができれば。  ――もしかしたら……先輩はミネットでもいいと、思ってくれるかもしれない。
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