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蘭と別れ、二人が向かった先は千寿華道会の会館だった。
と言っても仕事をするわけではない。
披露宴会場に飾るための花材を選ぶためだ。
ゲストをもてなすための花は紅真自身が生けることになっており、その具体的なイメージは二人で考えることになっていた。
「やっぱり華やかな感じがいいよね。百合とか使いたいな」
「いいね。胡蝶蘭を入れても豪華になると思う」
「わあ! 絶対素敵!」
「白い花メインにしてウェディングっぽくしてみようか」
「すごく素敵! 流石紅真くん!」
紅真は実際に百合や胡蝶蘭を合わせて、具体的なイメージを膨らませてくれた。
「菜花も生けてみる?」
「えっ、私にできるかな」
「何でもいいから、好きにやってみなよ」
そう言って紅真は白い花以外の色んな花材を出してくれた。
急に好きにやってみて、と言われてもどうしていいかわからない。
それもプロの前で見せるとなると緊張してしまう。
「華道に正解はない。菜花の思うままにやってみて」
「やってみる」
菜花は悩みながら、何となく黄色いバラを手に取った。
やはり白い花も入れたいなぁと思い、砂糖菓子のようにふんわりとしたイベリスを添える。
あとは感覚で緑を足して何となくそれっぽくしてみた。
「うわー、めっちゃ下手だぁ」
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