カプセルイン寝世界

「美夢ちゃん、時間だよ」
　先輩に肩を叩かれ、美夢は目を覚ました。デスクに突っ伏して、一刹那の出来事だったが、実際は30分以上経っている。
「美夢ちゃん、眠そう。大丈夫？」
「……大丈夫、です」
　強過ぎる眠気を覚まさんとコーヒーを淹れるつもりで立ち上がると、体に力が入らず、ずるずると床に座り込んでしまった。
「美夢ちゃん！」
「あれ、美夢さん？」
　倒れかけて先輩に支えられたところを、戻ってきた上司に見られてしまった。
「美夢さん！　しっかりして！　美夢さん、午後は退勤しなさい。明日も有給扱いにするから、しっかり家で寝てきなさい」
「……すみません」
　美夢の体質に理解のある上司に言われるままに、美夢は帰り支度をして退勤してしまった。