カプセルイン寝世界

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 目が覚めると、美夢はベッドの中にいた。部屋の中は真っ暗で、カーテンの隙間から外灯が漏れている。  美夢は部屋の明かりをつけ、デジタルの置き時計が示す日時を見て愕然とした。  日曜日の21時。就寝した日から、3日と6時間経っている。スマートフォンを見ても、テレビをつけても、表示される時間はデジタル時計と変わらない。  早退したのが木曜日。金曜日も休みをもらい、土日は寝て過ごしてしまった。  美夢は、自分が浦島太郎になったような気持ちになった。寝ている間の不思議な体験と、まだ夢から覚めない浮遊感が残っている。  トイレをしてシャワーを浴びて、スマートフォンを見ると、アプリにメッセージが来ていた。あのカプセルイン寝世界のアプリは本当に存在していたのだ。  ――このたびは、カプセルイン寝世界をご利用頂き、誠にありがとうございます。  今回は時間制限無しのご利用で24万円のご請求をさせて頂き、スマートフォンの電子決済からお支払い頂きましたが、利用プランと金額の確認不足による過大請求であると本社で判断され、今回のご利用金額は全額返金させて頂きます。  ご迷惑をおかけし、誠に申し訳ありませんでした。  今後とも、カプセルイン寝世界をよろしくお願い申し上げます。  カプセルイン寝世界 合歓垣  プラチナブロンドの美女の顔が、はっきりと美夢の脳裏に蘇った。利用方法は教えてもらったが、時間制限有りか無しか訊かれず、時間制限無しの場合の金額も提示されなかった。だがあの状況で、プランは、とか、金額は、とか、話をされても美夢は答えられないと思うし、訊かれても鬱陶(うっとう)しくてまともに答えられなかったかもしれない。  美夢は数年ぶりに体が軽く、思考がクリアになっていた。金を払って眠気と疲れが取れるなら、24万円は高くないと思ってしまう。  念のため、スマートフォンの電子決済サービスを確認した。カプセルイン寝世界の口座に24万円送金されたが、すぐに美夢の口座に返金されている。夢のようだったカプセルイン寝世界が一気に現実味を帯びた。  美夢は深く溜息をつき、ぽてんとベッドに横になった。普通に眠い。疲れによる、気絶するような眠気とは違い、ゆったりと睡眠時間を楽しんだ。

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