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12tangle(18〇女性との絡みありご注意ください)
◇◇◇
アパートに行った翌日は、最悪に眠かった。
授業中に居眠りしまくっていたが、教科書を立てらせて顔を隠していたので、先生にバレる事はなく、上手いこと寝不足を解消する事ができた。
それから更に数日が過ぎたが、翔吾はその間学校を休んでいた。
親父さんの跡を継ぐと言っていたから、就職先は決まったようなものだ。
今まで若頭としての責務を放棄していただけに、稼業を継ぐための準備で色々と忙しいんだろう。
翔吾が忙しいという事は側近のテツも忙しくなる。
だから、テツからの連絡はなかった。
結局、翔吾が登校してきたのは、翌週の火曜日だった。
普通に話しかけてきて安心したが、俺はいつテツの話題が出るかと思ってヒヤヒヤした。
しかし、翔吾はテツの事には触れなかった。
俺は密かに胸を撫で下ろしていたが、その日の夕方、下校途中に三上が電話してきた。
翔吾とテツが忙しくしている隙に電話してきたに違いない。
三上は今から付き合えと言う。
嫌だったが、仕方がない。
駅に行く途中のコンビニで待ち合わせをした。
俺が自転車でコンビニに到着すると、三上はコンビニの駐車場には入らず、少し手前の道路脇に車を停車させていた。
車は前と同じだった為、すぐにわかったが、どうやらこの車は三上の愛車らしい。
テツは親父さんの車に乗ってるから、まったく飾りっけがないが、三上の車にはバックミラーの横に小さなアクセサリーが吊り下げてある。
恐る恐る車に近づいたら、三上はドアを開けて車から降りてきたが、サングラス越しに俺をジロっと見ると、車の後ろを開け放って俺のそばに歩いて来た。
「自転車を貸せ」
また自転車を載せるらしい。
黙って自転車を渡したら、車に積んで運転席に向かったが、その途中で俺に「乗れ」と言った。
無言で助手席に座ると、三上は直ぐに車を出したが、急発進して乱暴にハンドルを切ってUターンする。
三上はテツより運転が荒い。
「おい、あれから矢吹と会ったのか?」
車を街に向かって走らせながら、テツの事を聞いてきた。
「それは……」
テツと会った事を三上なんかに言いたくなかった。
「会ったんだな、おめぇ……まだ童貞なんだろ?」
「え?」
「ふっ、今から卒業させてやるよ」
「ん、卒業?」
「あの女に会わせてやる」
いきなり突っ込んだ質問をされて唖然としたが、三上は例の女の事を持ち出してきた。
「女って……まさかテツの……」
「おお、そうだ、ただでやれるんだ有難く思え」
ただでやれる? って事は……その女が働くソープへ行くって事か?
「いや……、いいです! 遠慮します!」
冗談じゃない。
「女を見るのが怖いか」
「い、いや……そういうわけじゃ……、俺は……テツが過去に付き合った女に興味ないし、それに……童貞で構いません」
「まあ、そう言うな、たっぷりサービスして貰え、はっはっはっ!」
断りたかったが、三上は歓楽街を目指して車を走らせる。
どうしてもその女に俺を会わせるつもりらしい。
有無を言わさず、店に連れて行かれた。
通り沿いに背の低いビルが立ち並ぶ、いかにも怪しげな雰囲気の場所にやって来た。
三上はビル周辺にある駐車場に車をとめると、車を降りるように言った。
車を降りて三上の後ろについて歩いたが、周りのビルに入ってる店舗の前に立て看板が置いてあり、コースや料金がかいてある。
こんな場所に来るのは初めてで、ドキドキして不安になってきた。
三上は暫く歩いたところで足を止めた。
もしかして着いたのか? と思ってすぐ脇のビルに目を向けると、表通りではなく、路地の中に店の入り口らしきドアがあった。
その上に小さめなピンク色の看板がある。
──どうやらここらしい。
「おい、裏からだ、ついて来い」
三上は振り返って偉そうに言うと、ビルとビルの間の狭い路地に入って行ったが、俺は暗く狭い路地を見て怖くなった。
こんな場所に来た事がないし、来たくもない。
路地の左右に建つビルを見上げたら、どちらもくたびれた感じの三階建てのビルだが、看板があるのは左側のビルだ。
その女は、たった今目にした看板の店で働いてるらしい。
「何をしてる、モタモタするな! 早く来い!」
三上はいちいち偉そうに言う。
テンションだだ下がりだったが、嫌々ついて行った。
三上はそれらしき店の入口ではなく、更に進んだ所にある裏口から店の中に入ったので、俺も中に入ったが、中はカーテンで仕切られていて何がどうなってるのかよく分からない。
三上は俺に「ちょっと待ってろ」と言ってカーテンの奥に消えた。
多分事務所に顔を出して何か言ってるんだろう。
やがて戻って来ると、目の前を指差して「そこのカーテンの向こう側は待ち合いだ、そこを真っ直ぐ行きゃエレベーターがある、それに乗って3階へ行け」と言った。
緊張感が一気に高まったが……俺はやっぱりその女に会いたくない、腰が引ける思いがした。
「あの、俺……、こんな事したくないです、下校途中だし、帰りが遅くなると家族が心配するので、帰してくれませんか?」
「友也、行かねーと、地下室に連れてくぞ」
「地下室?」
「おう、おめぇにだけこっそり教えてやる、ここの地下にゃVIPしか入れねー秘密の部屋がある、そこにはな、色んな道具が置いてあるんだ、天井には吊るす為のフック、縛り付ける為のポール、壁は磔もできる、椅子やブランコ、他にもまだあるが、手錠に足枷、開口器……、小物も一通り揃ってる、おめぇがどうしても嫌だと言うなら、VIPルームに招待する事になるが……、どうする?」
どうせ無理だとわかってはいた。
怒鳴りつけられる事を覚悟して頼んだら、三上は声を潜めて地下室がある事を明かし、様々な道具の名前を並べ立てた。
道具については詳しくは分からなかったが、地下室が変態プレイをする場所なのはわかった。
「3階に行きます……」
そんな禍々しい場所で変態プレイに付き合わされるのはごめんだ。
「おお、へへっ、楽しんできな」
「はい……」
ニヤつく三上に返事を返し、カーテンの向こう側に行った。
すると、ソファーに客らしき男が座っていて、こっちに振り向いた。
慌てて目を逸らし、真っ直ぐに歩いて行ったが、またカーテンがある。
一瞬迷ったが、早くその場から離れたかったので、思い切ってカーテンの向こう側に入った。
目の前にエレベーターがある。
ボタンを押したらすぐに扉が開き、エレベーターに乗って3階のボタンを押した。
俺は学生服のままだが、心臓がドキドキして何気なく胸を見たら、名札を付けっぱなしにしていた。
冷や汗をかきながら急いで外した。
3階にはあっという間に着いた。
ドアが開いて廊下に出たら、目の前にそれらしい女が立っている。
肩や胸が大きく空いた真っ赤なドレスを纏い、スタイルはいいが、異様に痩せた細い腕が印象的だった。
女は俯いていた為、長い髪が顔を隠して顔がよく見えなかったが、雰囲気から姉貴よりも年上に見える。
この人がテツの元カノ?
──めちゃくちゃ嫌だった。
顔を見たくないし、テツの元カノとそんな事できる筈が無い。
逃げ腰になって後ずさりしたら、女がいきなり撓垂れ掛かってきて、びっくりして狼狽えた。
「あっ、あの……」
肩を掴まれてしどろもどろになっていると、女はゆっくりと顔を上げ、そこで初めて顔を見た。
可愛いというよりも、目鼻立ちの整った美人のお姉さんと言った感じだ。
何となく、テツが惚れたのもわかるような気がしたが、お姉さんは背伸びして顔を近づけてきた。
「え……」
顔を傾けてキスしようとしたので、肩を押し返してやめさせた。
「ちょっ……」
「なんでー? ねー、いいでしょー」
──何か……様子が変だ。
意味もなくニヤニヤ笑い、目線が定まっていない。
「いや、あの、俺は……」
「ふふっ……」
困惑しながら体を離そうとしたら、にっこりと微笑んで股間をギュッと握ってきた。
「わ……、何やって!」
手を払い除けてお姉さんから離れようとしたが、ニヤニヤしながらしつこく絡みついてくる。
「お客さーん、どうしてー? ねー、どうして駄目なのー」
「やめてください!」
イラッときて、つい突き飛ばしていた。
お姉さんは力なくその場に倒れ込み、床に両手をついて泣きだしてしまった。
ヤバいと思って焦り、お姉さんの傍に行ってしゃがみ込んだ。
「あ、あの……、ごめん、大丈夫?」
声をかけてみたが、泣くばっかしで何も答えない。
「参ったな……」
足でも挫いたのかと思って、確かめるように体を見たら、左腕の内側に痣がついている事に気づいた。
黒ずんだ痣が複数ついている。
なんなのか疑問に思ったが、ふと『薬』という言葉が頭に浮かんできた。
まさか……薬を?
そう言えば、テツが俺を拉致った時に薬を使うと脅したが、このお姉さんは本当に薬を使われている?
だとしたら様子がおかしいのも頷けるが、テツの元カノがそんな目にあってるなんて……認めたくなかった。
「おい、友也!」
背後からいきなり怒鳴り声がして、振り返ったら三上がやって来て俺の胸倉を掴んだ。
「う"っ!」
「おめぇ何やらかしてんだ! こいつぁ売り物だ、売り物に傷をつけられちゃ困るんだよ! ああ"? 分かってんのかコラァ!」
「くっ……」
「来い……!お前もだ朱莉(アカリ)、さっさと立て!」
建物内には、監視カメラが設置してある。
そんなのはちょっと考えればわかる事だったが、後の祭りだ。
三上は俺の様子を見ていたに違いなく、俺はお姉さんと共に引きずられるように部屋へ連れて行かれた。
部屋の中はやたら派手だった。
赤を基調とした壁に金色の柱、左側にあるベッドも布団以外全部金色だ。
正面奥にはガラス張りの浴室があるが、俺はベッドから少し離れた場所に立っていた。
三上が朱莉と呼んだお姉さんは、三上に腕を掴まれた時点で泣き止んでいたが、ベッドに座り込んで不貞腐れた顔をしている。
「朱莉、何ぼさっとしてる、客だ、早くやれ」
三上は朱莉さんと俺の間に立ち、朱莉さんに向かって指図した。
朱莉さんは急に表情を変えて俺の前にやって来たが、ニヤニヤ笑うわけではなく、不貞腐れた顔でもない。
さっきまでハイだったのが嘘みたいに無表情になっている。
血の気の失せた青白い顔は、まるで魂の抜けた傀儡のようだ。
朱莉さんは俺の体に手を伸ばし、シャツのボタンに手をかけてきたが、三上は傍に立って出て行こうとしない。
もう朱莉さんとヤルのは仕方がないと諦めてはいたが、三上に見られながらやるのは嫌だ。
「あの、ちょっと待って……」
「おめぇな、ごちゃごちゃ抜かすと後ろ手に縛りあげるぞ」
「わかった、やるから……、あの、部屋から出て欲しいんだけど」
「駄目だ、おめぇの初体験を見届けてやる」
しかし、三上は出て行くつもりはないらしい。
ベッドに座ってサングラスを外し、ポケットからタバコを出して口に咥えた。
すげー嫌だけど、歯向かえば殴られたり縛られたりするし、どうしようもない。
三上が見物する目の前で、朱莉さんのやりたいようにやらせた。
朱莉さんは慣れた手つきで俺の服を脱がせると、シャツとズボンをハンガーに掛けて壁のフックにかけた。
次に靴下を脱がせてベッドの端に置くと、パンツだけになった俺の前に跪いて、布越しに股間を撫で回す。
「あの、シャワーを……」
学校から帰る途中だったし、汗をかいたままだ。
布越しに鼻先を擦りつけられて思わず腰を引いたが、朱莉さんは俺を見ようともせずに布越しにナニを甘噛みする。
「う……、ち、ちょっと……シャワーを、あ、朱莉さん、聞いて」
布を通して熱い息が吹き掛かり、顔がかーっと熱くなった。
朱莉さんの肩を掴んでやめさせようとしたが、朱莉さんはパンツをズラしてナニを咥えてしまった。
「ひっ……!」
温かな口内に包まれた瞬間、体がビクンと震えて声が漏れた。
「っはは、なんだぁ今の声は」
三上が馬鹿にして笑ったが、ナニは吸い込まれるように朱莉さんの口の中に入っていき、尻にギュッと力が入ってゾッとするような快感が走った。
「わっ、んんー! ま、待って」
「朱莉は好きもんでしゃぶるのが上手いからな、くっくっくっ」
三上は下卑た事を言ったが、それは満更嘘ではないらしい。
朱莉さんは浅く頬張って、舌をグリグリ器用に動かし、敏感な先端に圧力をかけて舐め回す。
俺はあっという間に追い詰められた。
「うっ、ヤバい……、そんなにやったら出る」
「飲ませてやれ、わけぇからいっぺん抜いても知れてるだろ」
三上の声が聞こえたが、その直後に限界がきてナニが脈打った。
「ううっ……!」
朱莉さんの口の中で果ててしまった。
マズいと思ったが、気持ちよさが勝って腰を突き出していた。
「あ、ハァ、ハァ」
朱莉さんはジュルジュル音を立てて俺が出したやつを飲んでいる。
射出する快感に浸っていたら、三上がやって来て朱莉さんの肩を叩いた。
「おい朱莉、こいつぁ童貞だ、まだ18だぜ、わけぇ奴のはうめぇか?」
すると、朱莉さんはすっと立ち上がってニッコリと微笑んだ。
「ふふふっ、お風呂行こっか」
無表情だったのが嘘みたいに明るく話しかけられ、あまりの豹変ぶりに目が点になったが、感情がコロコロ変わるのは薬のせいなんだろうか……。
「あ、ああ、うん……」
俺はこんな場所で何をしたらいいのか分からないし、ただ頷くしかなかった。
初めての相手がテツの元カノ……。
喜べるわけがない。
何をされるのか全く分からない状況で、ズラされたパンツを脱いで全裸になると、朱莉さんは手を繋いできた。
「お客さーん、下だけ名前教えて」
「あ……、友也」
「友也君か、宜しくね」
「ああ、うん……」
手を繋いだまま浴室に向かっていったが、テツともこんな風に手を繋いだのかな? って……ふとそんな事を思った。
浴室の手前までやって来たら朱莉さんは手を離し、ドレスを脱いで脱衣カゴの中に放り込んだ。
レースのついた黒い下着を身につけていたが、色っぽい下着姿を目の当たりにして、堪らず顔を背けていた。
「友也君ってウブなんだー、かーわいい」
朱莉さんは楽しげに言ってまた俺の手を握ってきた。
「わ……」
「ねえ、ほら、脱がせて」
「えっ、あ、い、いや……その」
背中を向けて頼んできたが、白い背中に黒いブラを前にして、カチコチに緊張して動けなくなった。
テツとはあんなに大胆な事をしてるのに……頭が真っ白になって何もできない。
「おい、朱莉、お前は裸になって風呂で待ってろ、そいつを貸せ」
もたついてると、背後から三上がやって来て怪しげな事を言い出した。
「ん……?」
「友也、ケツをキレイにしろ、これでやれ」
「え?」
三上は俺の目の前にイチジク浣腸を突きつけて命令する。
朱莉さんの前で俺とやるつもりらしいが、朱莉さんに見られながら掘られるとか、そんなの嫌に決まっている。
「ちょっと待ってください、童貞を捨てる為に来たんですよね? それは勘弁してください」
「黙ってやれ、それとも朱莉共々地下へ行きてぇか?」
やめて欲しかったが、地下へ連れて行かれたらもっと恐ろしい事になる。
「分かりました……」
浣腸を受け取るしかなかった。
それから直ぐにトイレに入り、排泄を済ませて浴室に戻ったが、朱莉さんがいる前でシャワ浣をするのは嫌だ。
朱莉さんは全裸になって浴槽の縁に座っていたが、俺が来るまでに浴槽に湯を溜めたらしく、ピンク色の大きな浴槽は湯で満たされていた。
「あの、朱莉さん……、少し外して貰えませんか?」
「んー? なんで?」
傍に行って朱莉さんに声をかけたら、鼻にかかったような声で答えたが、三上がやって来て口を挟んできた。
「おい友也、さっさとやれ、朱莉はそのまま待ってろ」
三上が見張ってるし、やらなきゃどうせまた殴られる。
俺は諦めて排水口に近い場所に座り込み、いつものやり方でやっていった。
やってるのを見られないように、膝をついて朱莉さんの方に向いてやっていると、朱莉さんはトコトコと俺の傍にやって来てわざわざ尻を覗き込む。
恥ずかしさでいっぱいになり、パニクりながら朱莉さんに言った。
「朱莉さん……駄目だ、あっちに行ってて」
「それ、あたしもたまーにやってる」
「えっ?」
「お尻でやるの、ふふっ……、テツとよくやったなー」
だが、朱莉さんは天井を見上げながら……楽しそうにテツの事を口にした。
「あっ……」
恥ずかしさは一瞬で消え去り、胸がズキンと痛くなった。
朱莉さんは未だにテツの事を覚えている。
付き合ってたんだから当たり前の事だが、ショックだった……。
茫然としながら何気なく朱莉さんへ目をやったら、太ももに小さな青い蝶のタトゥーが入っていた。
──ダブルショックだ。
そのタトゥーはテツが入れさせたに違いない。
朱莉さんは歌を歌いながら浴槽の縁に座り直したが、俺は心ここにあらずで、無意識に手を動かしてシャワ浣を終えた。
俺がシャワ浣を済ませたら、朱莉さんは床にマットを敷いた。
見ていないようで一応俺の様子を見ていたらしい。
朱莉さんは、ここで同じ事を何十回と繰り返してきたんだろう。
次に何をやればいいか、よくわかっている。
マットはラブホにあった物と似ているが、ここのマットの方が大きい。
俺は朱莉さんに導かれ、マットの上に座った。
足を伸ばして座ったら、朱莉さんは俺の体をボディソープで洗い始めた。
真っ裸の朱莉さんに体中を撫で回されているというのに、下着姿を見た時のドキドキ感がなくなっていた。
やっぱ無理だ。
俺は三上の言う事を信じたくなかったので、もしかしたらテツの元カノっていうのは嘘かもしれないと、僅かな望みを抱いていたが、タトゥーを見てテツの元カノだったって確定したし、一気に気持ちが冷めてきた。
気の抜けた気分で朱莉さんに身を任せ、体中を洗われていったが、朱莉さんの肌が胸や擦れてきても、俺はぼんやりとテツの事を考えていた。
「ふっ、つまらねーな」
すると、不意に背後から三上の声がした。
振り返ると、三上が全裸になって立っている。
「朱莉、オイルは塗るな」
三上は朱莉さんに向かって言ったが、オイルってなんだ?
「はーい、じゃ流すからー」
よく分からなかったが、朱莉さんは三上に言われて泡まみれの俺の体をシャワーで洗い流していった。
終わったら股間にかがみ込み、またフェラをし始めた。
既に1回やられて分かってはいたが、舌使いが凄くてあっという間にイきそうになってきた。
「ハァ、あ、やばい」
「おい朱莉、もういい」
あとちょっとでイきそうだったが、三上が朱莉さんにストップをかけた。
朱莉さんは起き上がって俺の横に正座したが、ふと見れば……ナニにゴムが被せてある。
「え……?」
いつの間にやったのか、全く気づかなかった。
手を使って被せたわけじゃないから、口でやったんだろう。
プロって……凄すぎる。
「朱莉、正常位だ」
俺はただただ驚くばかりだったが、三上が再び朱莉さんに向かって指図した。
「うん、わかったー、友也君、おいでおいでー」
「えっ……」
朱莉さんは俺の前に寝転がり、足を開いて誘ってくる。
「早くー、おいでよ」
「い、いや……あの」
おいでと言われても……どうしたらいいか分からない。
「さっさと行け! オラ、こうするんだよ!」
「うわ、ちょっと、そんな無茶苦茶な」
三上が俺を強引に朱莉さんの上に被せたので、俺は慌てて朱莉さんの両脇に手をついたが、三上にナニを握られて焦った。
「ったく、世話のかかる奴だ、ここに入れりゃいいだけだ」
焦りまくる中でナニの先端が朱莉さんの秘部にあてがわれ、三上は俺の腰をぐいっと押さえつけて強引にナニを中へねじ込んだ。
「あっ! うあ……!」
ヌルッと滑ってナニが根元まで埋まり、温かくギュッと包み込まれる感触に体が強ばった。
「あはぁん……!」
朱莉さんは仰け反って甘い声をあげたが、俺はテツの元カノとやってしまった事に激しく動揺しながら、初めての感触に苦悶した。
「あ、う、ハァ、ハァ、あ、朱莉……さん」
熱く挟みつけられるようなこの感触……、眠っていた本能が刺激される。
「初めての女だ、よーく味わえ、テツも味わったんだからな、っははっ!」
三上はムカつく事を言ってゲラゲラ笑った。
「くっ……」
俺は快感を感じながら怒りを覚えた。
「俺はこっちだ」
下衆というのは三上の事だと思ったが、三上は俺の尻にひんやりとした液体を垂らした。
このドロッとした感触は……間違いなくローションだ。
──俺はぞっとした。
「まさか……この状態で?」
三上は3人で同時にやるつもりらしい。
「おお、あたりめーだ、その為にわざわざ洗浄させたんだからな」
「そ、そんな事……やめてください!」
俺はただでさえテツの元カノとやる事に抵抗感おおありなのに、その元カノとやりながら三上を受け入れる?
そんな異常な事をやろうとする三上は、頭がおかしいとしか思えない。
「へっ、まあ、そう言うな、こんなこたぁ滅多に経験できねーぞ」
逃げようとして藻掻いたが、下には朱莉さんがいる。
朱莉さんを傷つけちゃマズい。
庇いながら抗ううちに、三上が背中に乗りかかってきて、三上の猛りで体内を貫かれた。
「う"っ、んんんーっ!」
「へっへっ、すげーだろ、おめぇは滅多に出来ねぇ経験をしてるんだぜ、おい、気持ちいいだろうがよ、あっはっはっ!」
マジで頭がイカレてる。
三上は重なり合う朱莉さんと俺の上にかぶさって、体を揺らし始めた。
腕を突っ張ってなきゃ朱莉さんを下敷きにしてしまいそうだ。
全力で体を支えたが、三上は容赦なく動き続ける。
体内がジリジリと疼き始めてしまった。
「ひ、酷い、こんな真似、あんたはガチで変態だ」
「おお、構わねー、だがな、矢吹の奴はおめぇの下で喘いでるその女……朱莉を捨てたんだ、朱莉は奴に捨てられた挙句こんな所に落ちたんだぜ、朱莉の腕を見りゃわかるだろ、朱莉は薬でイカレちまった、それと太ももの蝶のタトゥー、その目によーく焼き付けておくんだな!」
三上はまたテツの事を腐して動き続けたが、三上が動けば、俺は朱莉さんを突き上げる事になる。
朱莉さんは甘い声を上げて悶えている。
それを見たら嫌でも気分が昂り、腹の中の疼きと朱莉さんを貫く快感がごっちゃになり、息が乱れてどんどん上り詰めていく。
「う"っ……くっ、ハァハァ」
真下で揺れ動く豊満な双丘を見たら、イきそうになってきた。
2人に挟まれて苦しかったが、込み上げる熱を止める事はできなかった。
「う、ううんっ……!」
俺は思い切り腰を突き出していた。
「おおー、いいぞ、ケツが締まる」
快楽に任せて体を揺らしていると、三上は俺と朱莉さんの両脇に腕をついて大きく動き出した。
朱莉さんの声と俺の声が重なり、あまりの異常な状況に頭がおかしくなりそうだったが、イキ果てたばかりで腹を抉られたら堪らない。
俺は常軌を逸した行為に溺れた。
朱莉さんは頬を紅潮させて完全に自分を見失っている。
極限状態で何とか腕を立てていると、朱莉さんが俺の肩を抱いてうわ言のように呟いた。
「気持ちいい……、好き……愛してる」
「朱莉……さん」
何故だか分からないが……朱莉さんがめちゃくちゃ可哀相に思えてきて、衝動的に抱き締めた。
「朱莉が気に入ったか、おい、矢吹と別れて俺と付き合え、女が欲しけりゃいくらでもくれてやる」
三上は動きを早めながら勝手な事を言う。
「う……っ、だ、誰がっ……、ことわる、ハァハァ」
そんな事……絶対に嫌だ。
「ふん、そうか、ま、それなら仕方ねぇが、おめぇは今から俺に種付けされるんだ、しっかり受け取りな!」
三上はぐっと奥を突いて動きを止め、体内に生あたたかい物が迸った。
「はっ、あぁっ……!」
ナニは朱莉さんの中から抜け出していたが、俺の体はビクついている。
「くっ、ハァハァ」
腕がガクガク震えたが、三上が射出し終えるまで……ギリギリもちこたえた。
快楽の波がおさまると、三上は満足して俺の中から出ていった。
すっと立ち上がってさっさとシャワーを浴び始めたので、俺はゆっくりと起き上がってマットの上に座った。
朱莉さんも起き上がったが、俺には目もくれずに浴槽の方へ歩いて行く。
なんだ? と思っていたら、浴槽に入って湯に浸かり、風呂の湯を両手で掬って鼻歌を歌い出した。
「薬を長くやると、しまいにはああなるんだ」
三上はシャワーを浴び終えて俺の方へやって来て言ったが、俺は三上には答えず、子供のように湯を掬ってはしゃぐ朱莉さんを見ていた。
「おい、送ってやる、おめぇもシャワーを浴びて服を着ろ」
三上は珍しく声を荒らげずに言ってきた。
「……分かった」
やる事をやって気が済んだのだろう。
三上が浴室を出た後、俺もシャワーを浴びてタオルで体を拭ったが、その間も朱莉さんは湯に浸かってひとりで遊んでいた。
部屋に戻ったら、三上は既に服を着てタバコを吹かしていたが、俺を見てタバコを灰皿で揉み消した。
「おい、どうだ、初めての女は良かったか?」
三上とは反対側に向いて服を着ていると、背中越しに聞いてくる。
「……はい」
本当は最低だと言いたかったが、それだと朱莉さんが気の毒だ。
振り向いて返事をした。
「ふっ、また機会がありゃ連れて来てやる」
三上は俺の返事に機嫌を良くしたらしく、にやけ顔で気前のいい事を言ったが、俺は2度とここには来たくなかった。
服を着た後、三上と共に部屋を出てエレベーターに乗ったが、下に着くまで、三上は俺の肩を抱いていた。
店の裏口から外へ出て駐車場に向かい、車に乗り込んだ。
コンビニまで送ってくれるように頼んだら、三上はすんなり承諾した。
車中では会話は交わさなかった。
というより、俺は三上と話をしたくなかった。
コンビニまで戻ってくると、三上はやっぱり駐車場に入ろうとはせず、道の端に車を止めた。
早く解放されたかったので、無言で車から降りようとしたら、三上がいきなり腕を掴んできた。
「ちょっと待て、これをやる」
何かと思ったら、俺の手を掴んで万札を数枚握らせる。
「いいです、こんなの貰えません」
「おいこら、俺の顔を潰す気か」
「分かりました、それじゃ……」
金なんか貰いたくはなかったが、睨みつけて脅してくるし、受け取るしかなかった。
渡されたのは3万。
俺がそれをポケットに突っ込んで車を降りたら、三上もすぐに車から降りて自転車をおろした。
「今日は楽しめた、また連絡する」
三上は俺に自転車を差し出して言ったが、珍しくいつもより穏やかな顔をしている。
自転車を受け取って三上の言葉に頷いた。
「……はい」
三上は素早く車に乗り込むと、急発進してその場から立ち去り、俺はひとりきりになって心底ほっとした。
けれど、さっき起きた悪夢のような出来事を忘れたかった。
嫌な気分を払い除けたくて、荷台に括り付けたカバンを2度叩いた。
時刻を確認したら23時を過ぎている。
今日体験した事は……ちょっとした災難だ。
そんな風に自分自身に言い聞かせて自転車に跨ったが、ちょっとした災難にしてはあまりにも重すぎた。
頭の中がごちゃごちゃになって混乱し、俺は朱莉さんの事を忘れなきゃ駄目だと思って力強くペダルを漕いだが、まるで足枷でもついているかのように足に力が入らない。
テツと朱莉さんの間に一体何があったのか、どうしても気になるが、強制的とはいえ、俺はその朱莉さんとやってしまった。
とにかく……今は何も考えたくない。
ひとまず姉貴にどう言い訳するか、それを考えていた。
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