31tempted

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31tempted

◇◇◇ テツがこっちを見ているかもしれないが、やるしかない。 「ね、テツー、ちゃんと見てるんだよ」 腹を決めてキスしようとしたら、翔吾は不意にテツの方へ向いて言った。 「はい」 テツは抑揚のない声で返事をしたが、俺は翔吾の方へ向いてるから、テツを見る事が出来ない。 「うん、だったらいい」 翔吾は急に活気づいて俺の体を押し倒してきた。 「あ……」 「友也、僕の事好き?」 ソファーに横になった事でテツが視界に入った。 「……ああ」 好きだという気持ちに偽りはない……但し、LIKEだ。 翔吾は笑みを浮かべた後で唇を重ねてきた。 華奢な体はテツと違って悲しいくらい軽く感じたが、翔吾は俺の頭を片腕で抱き込んで唇を貪る。 翔吾はこんな事をして本当に満たされるのか? こんな事をするのは間違ってると思うが、翔吾が暴挙に出たのは俺とテツの事が原因で、俺にも責任がある。 だから、仕方がない。 翔吾はやっぱり親父さんと同じ香水を使っているらしく、息をすると甘い香りが体中に染み渡るようだ。 柔らかな唇が枯渇したように俺の肌を貪り、掠めるようなキスを落としながら耳へと向かう。 細い指先が胸の突起を摘み上げてきたが……俺は視界の隅に映るテツの事が気になって仕方がなかった。 「友也……、テツの事を気にしてるでしょ」 翔吾は不貞腐れた顔で言ったが、気にするなって言う方が無理な話だ。 だからなにも言えなかった。 「なにも言えないんだ、いいよ、じゃあ、もう脱いじゃって」 俺は命じられるままに起きあがったが、その拍子にテツと目が合ってしまった。 動揺してしまい、直ぐに目を逸らしたが、テツは無表情に俺を見ていた。 意外だった……。 俺はてっきり、もっと辛そうな顔をしているかと思ったのに、狼狽えるようなそぶりは全くない。 「僕も脱ぐよ」 翔吾も服を脱ぎ始めたが、俺は気もそぞろに服を脱いでいった。 真昼間から全裸になって再びソファーに体を横たえる。 翔吾が被さってくると、滑らかな肌が擦れ合って心地よかったが、俺は翔吾の背中を抱く気持ちにはなれなかった。 また文句を言われるんじゃないかと思っていたが、翔吾はなにも言わずに行為に没頭している。 『今はなにも考えちゃ駄目だ』そう自分に言い聞かせて目を閉じたら、勃起したナニが俺の竿を擦り上げてきた。 「う……」 生々しい感触に、萎えていた竿がビクリと反応した。 「ふふっ、これは感じるんだね」 翔吾は腰をグラインドさせてわざと擦り付け、太い竿が俺の竿を左右に転がすようにグリグリ擦る。 翔吾のナニは色こそ淡い色をしているが、華奢な体に不釣り合いな大きさだ。 それでグリグリやられたら……たまらない。 「つ、ぁ……」 擦れ合う度にナニがびくつき、勃ち上がって先走りを零した。 「うぅ……っ」 封じ込めた淫らな疼きが刺激され、さっきまでなにも感じなかった体が、嘘みたいに感じ始めてしまった。 指先が胸の突起を摘み上げただけで体中に淫猥な刺激が走る。 「ハァハァ、あ……っ」 「その気になった? じゃあ、もうやっちゃおっかなー」 翔吾は不自然な位明るく言って起き上がり、俺の足を抱えあげてローションを垂らしていった。 心は翔吾を受け入れる事を拒絶してるのに、体は次に起こる事を待ちわびている。 「テツ見て、ほら……入れるよ」 熱い塊がアナルに触れ、翔吾はテツに声をかけて中に押し入ってきた。 「う"っ……!」 これはマジで洒落にならない。 親父さん譲りのナニは、強烈な圧迫感をもたらし、堪らなくなって首を反らしたら、先端が前立腺に当たって目が眩んだ。 「ん"あ"っ! はっ……ハァハァ」 「うん、気持ちいい、最高だよ友也……やっとひとつになれた」 翔吾は気持ち良さそうに息を吐き出して呟き、俺にかぶさってきたが、首筋にキスをしながら腰を動かしている。 張り出した先端が前立腺を擦り上げ、理性が吹き飛んで制御不能に陥っていった。 「っ、ハアハア、ああっ、あっ……!」 ハラワタを貫く衝撃に堪らず声を上げたら、翔吾は不意に動くのをやめた。 「こんなに感じるのは……テツのお陰だね、テツどう? 今の気持ちを言ってみて」 翔吾はテツに向かって聞いたが、俺は翔吾が止まった事で体が楽になり、気が抜けたようにぼんやりとテツを見た。 「特になにもありません」 テツは俺が翔吾とやってるのを目の前で見てるのに、おかしい位冷めた顔をして答える。 「なにも感じないって事はないだろ、友也を屋敷に連れて来た時から、気に入って目をつけてたくらいだ、僕に取られて悔しい?」 翔吾はムキになって問いかける。 「いえ」 「なにも思わないの? そんな筈ないよね、内緒で会ってた癖に、あのアパートに連れてったんでしょ? あそこはよほど気に入った相手じゃなきゃ連れてかない、ふふっ、知ってるよ、2階はプレイルームになってるしね」 「俺はあくまでも補佐だ、若の面倒をみるのが俺の役目、それだけです」 「ふーん、夢中になってたわりにはやけに冷たいね、親父にびびった? パパには対抗できないもんね」 「おやっさんには拾って貰った恩がある」 「ふふっ、で、親父に掘られた、だからなにも言えない」 「なんとでも仰ってください、俺は与えられた罰を受けるだけっす」 俺は翔吾に貫かれたまま、2人の会話を聞いていたが、テツは一貫して冷静に返している。 居た堪れなくなってテツを凝視したが、テツはさっきとおんなじ表情だった。 何故そんなに落ち着いていられるのか、悲しくなってきた。 「友也……やっぱりテツは遊びだったんだよ、可哀想に、僕が癒してあげるから」 翔吾はここぞとばかりに言った。 けれど、俺はテツがどうだろうが、翔吾に対する気持ちは変わらない。 「俺は……翔吾の事、大切な友達だと、お……思ってる」 「意地っ張りだなー、いいよ、そういう事なら、僕も……意地でも振り向かせてみせる、これ、こないだの薬、ふふっ」 だけど、俺の言葉は翔吾に届きそうになかった。 翔吾は繋がりをほどいて自分の竿に媚薬を塗りたくり、媚薬付きの竿を再び突き込んできた。 腹の奥にズンっ!と重い振動が響き、それだけでもキツかったが、翔吾は俺の両足を肩にかけて被さった。 張り詰めた先端が奥を突き上げ、前立腺とその奥を抉りあげ、S字結腸まで押される感覚がする。 ビリビリとした強い刺激が継続してわきおこり、体中に淫靡な痺れが広がっていく。 「っ……! はああっ! ……あう"っ、ああっ!」 怒張した竿はそのままでも強烈な快感を与えてくるのに、媚薬が効いてきて……気持ち良すぎてわけがわからなくなってきた。 「ふああっ! も、もう……っ! もう……駄目だっ、はあぁっ!」 股間のナニが体液をダラダラと漏らしていた。 「トコロテンだ、ふふふっ、いいよ、堪らない、テツ、ほら見て、トコロテンしたよ」 翔吾は俺の足を肩から降ろして得意げに言ったが、テツは無言のままだ。 「う……、テ、テツ……」 泣きたくなり、テツへ向かって手を伸ばした。 「友也、いい加減にしろ! 駄目だからな! 僕を見ろ!」 翔吾は激昂して俺を怒鳴りつけ、荒々しく突き上げてきた。 「う……うぁっ……! し、翔吾……! やめっ、あっ、ああっ!」 竿が体内を乱暴に往復し、内蔵を打たれるような衝撃に体中が強ばる。 華奢な体が身軽に揺れ動く度に、強靭なイチモツが淫猥な刺激を叩き込み、許容範囲を超える快感に涙が滲み出してきた。 「くっ、ああっ! やめっ、壊れる、っああ!」 「友也、僕のものになれ! なるんだ!」 翔吾は無慈悲に快楽を貪り、繰り返し俺に言い聞かせていたが、俺は意識が飛びそうになって声すら出なくなっていった。 気絶する寸前、奥深く突き上げた竿が俺の中で弾け、放たれる熱が体内に染み渡って体中を蕩けさせた。 朦朧とする中で淫蕩に浸るしかない。 静かな部屋に荒らげた息遣いだけが響いていたが、やがて体の熱が冷めて呼吸が穏やかになると、翔吾はゆっくりと起き上がって体を離した。 「ふふっ……、あははっ! これで僕のものだ、だよな? 友也」 俺は……空っぽになった頭で高笑いする翔吾を見ていた。 その後、翔吾に促されてシャワーを浴び、服を着て何事も無かったかのように3人で過ごしたが、テツは前みたいにふざけて絡んでこない。 楽しそうに話をしているのは翔吾だけだ。 「若ー、いいっすかー?」 俺は無感情に相槌を打っていたが、ノック無しでドアの向こう側からイブキの声がした。 「ああ、どうぞ」 「失礼しまーす」 翔吾が面倒臭そうに答えると、イブキはドアを開けて部屋に入ってきた。 「あの~若、黒木の兄貴が、若に話があるらしいんですが~」 一体何を言うのか、じっとイブキに見入っていたら、イブキは黒木の事を口にする。 「また? もー、しょうがないなー、連れて来て」 「はーい、ただいま!」 翔吾は呆れ顔で返し、イブキは軽い足取りで部屋から出て行ったが、俺は何故黒木がここに来るのか……不思議に思った。 「若、失礼します」 さほど経たないうちにドアをノックする音がして、黒木が頭を下げて遠慮がちに部屋に入って来た。 「黒木、なに?」 「あ、矢吹に、友也も一緒なんっすね、じゃ、またでいいっす」 黒木には1度会ったきりだが、あんなのを見てしまったせいで……印象深い。 だが、黒木はわざわざやって来たというのに、俺とテツがいるのを見て、バツが悪そうに頭を下げて部屋を出て行った。 「ったく……しょうがないなー、ちょっと行ってくる」 翔吾はぶつくさ言って立ち上がると、黒木の後を追って部屋から出た。 「黒木さんが何故ここに……?」 俺はよくわからない状況に、つい呟いていた。 「ふっ、あいつ……、あん時若にやられちまって、若に懐いちまったんだよ、クックック……」 テツは意地悪な笑みを浮かべて言った。 「えっ、なにそれ、懐くって……マジで?」 黒木は翔吾に無理矢理相手をさせられ、嫌々だった筈。 「黒木もバイだが、ウケに回ったのは若が初めてだ……、でー、若に惚れちまったんだよ、どうやら目覚めちまったらしい……、っははっ!」 テツは面白がっているが、俺はさっきあんな目に合わされたばかりだし、黒木を笑う気持ちにはなれなかった。 「テツ、笑い事じゃねーし、これから俺……また翔吾に……」 俺が翔吾に抱かれるのを目の当たりにしたというのに、テツは黒木の事を言ってゲラゲラ笑う。 こんな事になる前はあんなにラブラブだったのに、どうしてそんな風に冷静でいられるんだ? 「悪いが、俺の事は忘れてくれ、おめぇは女でも作れ」 しかも、追い討ちをかけるように突き放すような事を言う。 テツに縋るつもりはなかったが、ただ……せめて慰めて欲しかった。 俺にはテツが何を考えてるのか、さっぱりわからない。 「そんな……テツ、俺」 「俺はクズだ、朱莉を見りゃ分かる」 「嘘だよな? わざと言ってるんだろ?」 「ま、女が無理なら、若と上手くやりな、もういいだろう」 「待って!」 テツは立ち上がってドアの前に歩いて行こうとする。 慌てて追いかけたら、入れ替わるように翔吾が戻ってきた。 「ん、テツ……」 翔吾はキョトンとした顔でテツを見上げる。 「俺はこの辺りで失礼します」 テツは翔吾に頭を下げて部屋から出て行った。 俺は素っ気なく立ち去るテツの背中を見送るしかなく、茫然とその場に立ち尽くしていた。 それから後は翔吾と2人で過ごし、帰りはイブキに送って貰った。 けれど、心が死んだように感情を無くし、イブキのウザイお喋りすら耳に入ってこない。 テツとは、本当にこれで終わりなんだろうか……そんなの信じられなかった。 翔吾に抱かれるのは、割り切ればなんとかなる。 けど俺は……無理矢理別れさせられてもテツの事を諦めちゃいなかった。 なのに、もし本当にテツと復縁できないんだとしたら……何もかもどうでもいいような、酷く投げやりな気持ちになってくる。 帰宅したら、俺は自分の部屋に引きこもっていたが、日が暮れてしばらく経っても姉貴は帰って来ない。 火野さんとデートでもしてるんだろう。 姉貴が羨ましくなってきた。 ベッドに寝転がって天井を見ていたら、電話がかかってきた。 ───竜治だ。 翔吾の屋敷に行く前に、帰るのは多分19時過ぎになると報告しておいたので、メールじゃなく直接電話してきたんだろう。 『……はい、もしもし』 『おお、俺だ、今家か?』 『はい』 『今日はどうだった?』 『最悪です……』 『ははっ、だろうな、矢吹はおめぇに何か言ったか?』 『自分の事は忘れろって、女とでも付き合えって言いました』 『そうなのか? ネックレスまで渡したわりにゃ、いきなりバッサリ切ってきたな』 『俺は別に……あてになんかしてなかった、頼ろうとは思ってない、ただ……そんな言い方をしなくても……』 ほんとは竜治に話すつもりはなかったが、溜まった鬱憤が口をついて出ていた。 『ふーん、何を考えてるのか分からねーが、矢吹が相当遊んでたのは確かだからな』 テツは相当遊んでた……。 そう聞いたら益々気分が落ち込んだ。 『すみません、ちょっと話をする気分じゃないんで……』 電話を切ろうと思った。 『待ちな、今から行ってやる』 ところが、竜治は突拍子もない事を言い出した。 『えっ……、けど、もう20時になるし』 『かまやしねぇ、こないだ姉ちゃんを助けた場所で待ってろ、そうだな、今出先なんだが……30分後だ、いいな?』 『あ、はい……』 強引に押されて断れなかった事もあるが、本音を言うと……寂しかったのもある。 だから……竜治の誘いに乗った。
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