8trust

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◇◇◇ 車から降りてテツの部屋の前までやって来たが、アパートの部屋数はたった3戸しかない。 但し一戸辺りの幅が広く、しかも3階建てになっているようだ。 普通のアパートとは違って、玄関の位置がそれぞれ別向きになっている。 左側の部屋は玄関は左、真ん中は真ん中、右側は右についていて、玄関の横にはまるで衝立みたいな柵がある。 アパートとしては、かなり贅沢な造りなんじゃないかと思った。 けど、左右の部屋の窓には黒いビニールがかけてある。 真ん前の部屋はカーテンがあるから、この真ん中がテツの住居のようだが、どうやらここにはテツ以外誰も住んでないらしい。 「テツ、このアパート、誰も借りてないのか?」 「ああ、気楽でいいだろ?」 誰も住んでないって事は、ここもあのボロいマンションと一緒じゃないか?……と思ったが、やっぱ全然違う。 レンガは本物かどうかわからないが、このアパートは欧州風の建物だし、ありふれたアパートと比べたら遥かに見栄えがする。 「うん、そうだな」 テツは鍵を開けて真ん中の部屋に入り、俺も続いて中に入った。 靴を脱いで部屋に上がると、床はフローリングで、広々としたリビングの上は吹き抜けになっている。 ちょうど吹き抜けの真下に黒いソファーとテーブルがある。 玄関から見て右端に黒い階段があり、階段を辿って2階へ目を向けたら、2階は当たり前に部屋になっているが、下からはよく見えない。 ただ、3階部分はチラッと見えた。 このアパートは外観からして変わった造りをしているが、3階部分はロフトになっているようだ。 もう一度1階へ目を戻して改めて部屋を見回したら……キッチンはリビングの奥の壁際にあったが、オープンキッチンになっている。 キッチンのカウンターや椅子も黒で統一されていた。 こんな洒落た家を実際に見るのは初めてで、玄関から数歩入ったところで立ち竦み、部屋の中を見回した。 「友也、こっちに来い」 テツはソファーに座って俺を呼んでいる。 「ああ」 ひとまず両手に提げた買い物袋を部屋の隅に置き、ソファーまで歩いて行った。 テツの向かい側に座ったが、テツは膝に肘を置いて頬杖をつき、上目遣いで俺を見た。 「ん、どうかした?」 「誰が離れて座っていいと言った、こっちに来い」 不満げに言われて思い出した。 そういや、単に遊びに来たわけじゃなかった。 テツが元のテツに戻った事で、すっかり忘れていた。 「分かった……」 「俺といる時は傍にいろ、いいな?」 「ああ……うん」 言われたように隣に座ったら、テツは肩を抱いてきたが……。 あんな事があったせいで変に意識してしまう。 だけど、俺はどうしても聞きたい。 こないだはそんな余裕はなかったが、今なら聞ける。 「あの、ちょっと聞いていい?」 「なんだ?」 「どうして俺を拉致ってあんな真似をしたんだ?」 「気に入ったからだ」 「気に入った?」 「おう」 確か……翔吾も『テツは友也を気に入った』とか、そんな事を言っていた。 「翔吾の言った事は、そういう意味だったのか」 あの時は深くは考えなかったが、既にそういう目で見られていたらしい。 「若が何か言ったのか?」 「あんたが俺を気に入ってるって……」 「気づかれてたか」 「なあ、やっぱ、俺が翔吾の家に通ってた時に、既にそういう目で見てたのか?」 一応確認してみた。 「そうだ」 テツはあっさり認めたが……。 「マジっすか……」 だから、やたらと格闘技の技をかけてきたのか? しかも、寝技とか絡みつく技が殆どだったし。 「別におかしかねーだろ、若がお前に惚れてる事ぁ分かってた、だからよー、お前が若と繋がってるうちは手を出すつもりはなかった、ところが、お前は若との約束を破って居なくなっちまった、俺ぁあん時、日が暮れてお前の家に行ったんだ、引きずり出して訳を聞きたかったが、さすがにそれはマズいだろ、車のエンジンを切ってこっそり様子をうかがってたんだが……、2階に2つ部屋があったな、で、カーテンを閉めた真っ暗な部屋、あれがお前の部屋だな? 部屋を真っ暗にしてカーテンまでしめるなんざ、よっぽどだな」 「そうだけど、俺はそんな世界知らねぇし、生でやってるのを見たら怖いに決まってるだろ」 「ははっ、あいつらが盛ってるのを見て、そんなにびびったのか?」 「そりゃそうだ、事務所に行った時も来たけど、三上っていう坊主頭……あいつが俺に変な事を言ったし、その後であんなものをみたら……やべぇって思うじゃん」 「まあ、そういう事に縁がねぇんだ、そういやそうかもな、俺はな、お前が居なくなってショックを受ける若を見て……お前にムカついた、けどよ、その後お前と若は仲違いしちまった、若と縁が切れりゃお前はフリーだ、だから俺が手ぇ出したってわけだ、お前も今は俺と特別な仲になった、もうびびるこたぁねーな、っはは!」 テツがあんな暴挙に出たのは、俺と翔吾が仲違いしたのが引き金になった。 でも、俺はそんなの納得できない。 「俺の気持ちは無視なんだ、無理矢理あんな事をされて……、あんたはそれで満足なわけ?」 俺はあんな事を望んでなかった。 「俺は欲しいものは無理にでも手に入れる、おお、そういや、家に行った時に姉ちゃん見たぞ、彼氏とデートでもしてたのか? ちょうど家に帰ってきたんだ、なかなかの美人だな、名前は舞、いい女だ、悪くねー」 話をするうちに段々腹が立ってきたが、テツは姉貴を見てしまい、何故か名前まで知っている。 「テツ、いい加減にしろよ! 俺はちゃんと言うことを聞いてるじゃねぇの、姉貴は関係ねー、姉貴には手を出すな!」 カッとなってテツの上着の襟を両手で掴み、食ってかかるように言った。 「おお、威勢がいいな、へへー、なあ友也、だから言ったじゃねぇか、そいつは……お前次第だと、お前が従ってりゃ俺も約束を守る」 テツは余裕の表情で返してくる。 俺の肩を軽く叩き、ニヤニヤしながら言ってきた。 もっと何か言い返したかったが、姉貴の事を考えたら……言い返せない。 上着から手を放して前に向き直り、膝を掴んで悔しさを胸の奥にしまい込んだ。 「おっ、そうだ、忘れてた……、親父がな、おめぇからプレゼント貰ってえらく喜んでたぞ、満更でもねー顔をしてた、ありゃ、1回付き合わされるかもな」 俺は自分の非力さを情けなく感じていたが、テツは思い出したように親父さんの事を口にする。 「えっ……、付き合う?」 紋付羽織袴を着た親父さんの姿が蘇り、苦悩してる場合じゃなくなった。 「おう、いいもん食わせてくれるぞ、親父には厳つい連中が数人ついてる、そいつらが車で迎えに来るだろう、勿論食事中も傍でガードしてる」 聞いてもないのにテツは具体的に説明する。 それを聞いたら、冷や汗が出てきた。 「ま、待ってくれ……、喜んでくれるのは嬉しいけど、俺はそういうの苦手だから……というか、礼はいらねー、テツ、親父さんと親しいんだろ? な、上手く誤魔化してくれ」 テツは親父さんからの信頼度が厚い。 何とか断って貰わなきゃ困る。 「おお、構わねーが、その代わりお前は俺とだけ付き合え、女も駄目だ、じゃねーと、食事の後で親父にホテルへ連れてかれるぞ」 ところが、テツは条件を厳しくして更に怖い事を言う。 「ホテルって……まさか」 「食事だけで済むと思うな、親父と床を共にする羽目になるだろう、厳つい連中は部屋ん中にもついてくる、ドアにひとり、部屋ん中に2人、最低でもそれ位はつくだろう、お前は厳つい奴らに見られながら、親父に抱かれる羽目になる」 「えぇ……」 ホテルと聞いただけで嫌な予感はしたが、テツの話は想像を絶する事だった。 つーか、息子の友達に手を出すのか? よくわかんねぇけど、やっぱりヤクザは怖ぇ。 「ま、それでも構わねーというなら、付き合やいい」 ──そんな事、冗談じゃない。 究極の選択ではあるが……テツに付き合う方がマシだ。 「分かった、あんたが誘ってきたら俺は必ずあんたに付き合うし、彼女とかそんなのは作らねぇ……、だから親父さんの事は頼む、断ってくれ」 条件を呑んで必死に頼んだ。 「へっ、そうか、そういう事なら任せな、親父は俺の意見にゃ真面目に耳を貸すからな」 テツは自信ありげに頷いた。 「よかった……、組長さんってだけでもビビるのに、見られながらとか……そんなの異常としか思えねー」 俺からしたら、闇が深すぎる世界だ。 けど、テツに任せとけばまず大丈夫だろう。 安心してため息をついていた。 その後はコンビニで買った食いもんで食事を済ませ、和やかなムードで過ごしたが、和やかなムードはそう長くは続かなかった。 食事が済んだら、前回やらされた……アレをやられた。 浣腸とシャワ浣。 けれど、1回経験したせいか、諦めの境地に辿り着いた心境だった。 テツは浴室に行った時に服を脱いでシャワ浣をやったが、慣れたら自分でやれと言う。 そんな事に慣れたくはなかったが、黙って頷いた。 部屋が広すぎてリビングからは見えなかったが、ベッドは2部屋分以上はありそうな部屋の左奥にあった。 キングサイズの黒いベッドだ。 ベッドの足元に小さな出窓があるが、何も飾られてはいなかった。 真昼間から……陽の差す部屋ん中でテツと裸で抱き合う。 「背中を抱け」 素直に従って背中を抱いたが、体を重ねたらテツのナニが当たってくる。 俺のはふにゃふにゃだが、テツのは起立していた。 男を抱いていきなりその気になれるとか、俺には理解できないが、他人のナニはやたら生々しく感じる。 首筋に唇が触れると、ざらつく髭が肌を擦った。 それもちょっとは慣れたような気がしたが、感じるかと言われたら……無理だ。 テツは首筋や肩にキスをして、気まぐれに舌を這わせていったが、やってるうちに徐々に息づかいが荒くなるのが分かる。 「嫌そうな面ぁしやがって」 耳元で囁くように言われて焦った。 「そんな事は……ない」 無意識に顔を顰めていたらしく、慌てて誤魔化した。 「ほお、じゃ確かめてやる」 テツは意地悪くニヤついて、耳を舐め始めた。 耳は敏感で、濡れた舌が触れただけで反射的に首を竦めてしまったが、髪を括ってるせいで耳が丸出しになっている。 テツは耳介を舐め回し、腰の辺りがゾワゾワしてきた。 「うわ、ちょっ……、うーっ」 「こら、逃げるな」 舌から逃れようとしたら、テツは頭を押さえつけて耳の中に舌を突っ込んだ。 「ひぃ……!だ、だめだ、それ、ちょっと……ああ”」 グチュグチュという音が、頭ん中にダイレクトに驚いてくる。 「クックッ……、いいな、悪くねー」 テツは楽しげだが、やられるこっちは耳ん中唾だらけになるし、たまらねぇ。 「ちょっと、ああ”っ! 舌を突っ込むな! つ、唾が入るー! 中耳炎になるから、マジで……、マジだから!」 「うるせぇな、ったく……、ムードもへったくれもねー」 じたばた藻掻いて喚き散らしたら、テツはぶつくさ言って耳舐めをやめた。 体を下にずらし、胸の肉をぎゅっと摘んで乳首をしゃぶりだしたが、舌先でつつかれても擽ったいだけで何も感じない。 「お前、乳首鈍いな」 「そりゃ……男だし」 テツは不満げに言って起き上がり、這いつくばってベッドの脇に手を伸ばした。 サイドテーブルの引き出しを開けて中を探っていたが、やがて何かを取り出して俺んとこに戻ってきた。 薬のチューブのような物と、コードのついたピンク色の物体を手にしている。 「ん?」 黙って見ていると、チューブの蓋を開けてクリームを指に出し、それをそのまま俺の胸に塗りたくる。 「ち、ちょっと……、それなに? やばい物?」 得体の知れないものを塗られるのはごめんだ。 慌てて起き上がろうとしたら、肩を押されて強制的に寝かされた。 「心配するな、こりゃ、ただの媚薬だ」 テツは両乳首にクリームを塗り、ピンク色の物体を乳首にくっつけた。 「ん、なんだこりゃ?」 よく見たら、その物体は先端がクリップみたいになっている。 小さなクリップが乳首を挟んでる状態だが、痛くはなかった。 ただコードがついていて、スイッチみたいな物がくっついてるのが気になる。 「なあ、テツ、これってあれ? アダルトグッズってやつ? こんなもんつけて、なんか……可笑しくね?」 アダルトグッズを見たのは初めてだが、こんな物を乳首にぶら下げるのは……見た目的に笑える。 「こうすりゃ、笑えなくなるぜ」 テツはスイッチと思しき物を握ると、カチッと音を立ててONにした。 「うっ、わっ、ちょっと……、ちょっと待って、なに? あっ、これ、無理だから」 さっきまで擽ったいだけだったが、嘘みたいに乳首が敏感になっている。 敏感になった乳首に、ピンク色のクリップが振動を与えてくるから堪らない。 クリップを取ろうとしたが、テツに両手首を掴まれてベッドに押さえつけられた。 「へへー、そのままじっとしてろ」 「そんな……、なんかビリビリくる、うっ、ううっ! 手を放せ」 「駄目だ、な、嫌でも感じるだろ?」 「なんだよ……無理矢理感じさせるわけ?」 テツは手を退けてはくれず、乳首からくる刺激が体全体に響いてくる。 こんなに敏感になったのは、きっとあのクリームのせいだと思ったが、あんなものがこんなに効くとは思わなかった。 「っ……! う……」 「へへー、教えてやろうか、こりゃ乳首専用のローターだ」 「そんなもんが常備してあるとか……、変態じゃん」 「口が減らねー奴だな、じゃ最強にしてやる」 マジで変態だと思ったが、テツは俺の手首を片手で束ねて押さえつけ、ローターのスイッチを最強に切り替えた。 「う"っ、ああ"っ! ヤバイ……ヤバイって」 「お前な……、少しは静かにできねーのか」 テツは呆れ顔で言って俺の手を両手で掴み直したが、媚薬と振動のダブル攻撃は、体の芯にダイレクトに響く。 「うぅ……なんなんだよ……くっ!」 ただの電気的な振動なのに、ふにゃふにゃだったナニが勃ってきた。 「全くよ、な、もうちょい色気を出せ、少しは感じろよ」 「そんな事言われ……てもっ! これ、何とかして……!」 絶え間なくくる刺激に我慢できず、テツに頼んだ。 「しょーがねーな、じゃ、あと1分我慢しろ、我慢出来たら取ってやる、どうだ?」 「わ、わかった、我慢する」 テツは条件を出してきて、俺が承諾したら手を放して足元の方へ移動した。 これでやっと解放されると思ったが、1分というのは待ってるとやたら長く感じる。 ひたすら我慢していると、テツは上に戻ってきた。 「1分経った?じゃ、外してくれ」 「へへっ」 俺はやっと外して貰えると思ったが、テツはニヤニヤしながら手錠を持っている。 「あっ! ちょっと……またそれ? やめっ……」 「おめぇがごちゃごちゃうるせーからだ」 テツは俺の両手首に無理矢理手錠をはめてきたが、この手錠には太い鎖がついている。 その鎖の端っこをベッドのヘッド部分に括りつけた。 にしても、このベッド……。 ヘッド部分が都合よく柵状になっているし、なんかおかしい。 ひょっとして、今までこういうプレイを楽しんできたのか? だけど、テツの趣味嗜好について考える余裕はなかった。 否が応なくバンザイする格好にさせられ、ローターは休まず動いている。 「ううっ……、取ってくれるんじゃなかったのか?」 嘘をついた上に拘束するとか……ひでぇ。 「友也、これで終わりだと思うなよ、へっへっ」 「テツ……」 普通にしてたらいい奴なのに……こういう事になると人格が豹変する。 そんな事を思ってみても、こんな変態プレイをされて反応する自分が嫌だ。 繰り返し襲う淫らな刺激に苦悶していると、テツはいつの間にかローションを手にして足元の方へ移動していた。 「ち、ちょっと……またそこ?」 「あたりめぇだ、1回やったぐれぇじゃそう直ぐに馴染むってもんじゃねーからな、ほら、やるぞ」 俺の足をひょいと抱えあげ、M字開脚にさせる。 「ううっ……ひでぇ、こんな恥ずかしい格好させられて……、俺はこんな事やりたくねーのに」 嫌すぎて嘘泣きをしてみたが、テツは俺のナニを摘んで左右に振った。 「男の癖にグズグズ言うな、ったく、なんだぁこりゃ、ふにゃふにゃじゃねーか」 「振るなよ、そっちをやるなら……乳首を外せ」 付けっぱなしにされてるせいで、感じ過ぎて痺れっぱなしだ。 「へへーっ、そうはいかねーぞ、お前の体は俺のものだからな、俺好みに改造してやる」 なのに、テツは意地悪く笑って言う。 「鬼ぃ! 変態! 悪魔!」 頭にきて罵ったら、体内にノズルを挿し込まれて体が硬直した。 「ん、う……っ」 「おい、感謝しろよ、俺が丁寧に慣らしてやったお陰で、ここが無事だったんだからな」 「そんな事……、頼んで……ねーから」 テツは勝手な事を言ってローションをそこに塗っていく。 「はあ、う……」 恥辱に塗れながらローターの刺激に耐え、恥ずかしい箇所を弄られる。 「おめぇ知らねぇだろ、掘る時にゃしっかり慣らさなきゃマズいんだ、無茶に突っ込んだりしたら死ね事もあるんだぜ」 こんな事をされて感じたくはなかったが、テツが指を動かすから、あのビリビリが生じ始めた。 だけど、怖い事を言われて俺はびびった。 「んっ……」 指が奥に入り込んできてひたすら感じまいとしたが、慣らさなきゃ死ぬって聞いたら……抵抗する気持ちが萎えた。 「し……死ぬ……って?」 どういう事なのか具体的に知りたい。 「血管が走ってるからな、大量出血を起こして死んじまう」 「そ、そう……なのか」 大量出血……。 そういえば、父さんが以前痔の手術をした時に、手術をする前に結構出血したと聞いた事がある。 テツの話は嘘には思えない。 掘られて尻から血ぃ流してみっともなく死んだりしたら……きっと姉貴に心底馬鹿にされる。 恥ずかしいとか言ってる場合じゃない。 これも試練だと思って我慢する事にした。 「そうだ、そうして力を抜いてな、今日は前よりじっくりと解してやるからな」 テツの言葉を聞いて腹を括るしかなかった。 指は直腸の上を弄り、ナニの下辺りを重点的に責めてきて、下腹部全体が痺れたような快感に襲われる。 「ハァハァ……、あっ、ううっ……」 下腹がぎゅっと締め付けられるような感覚が襲いかかり、やり場のない淫らな刺激に耐えかね、拘束された手を下へ引っ張った。 「おっ、感じてきたか? 普通はもっと時間がかかるもんだが、おめぇはかなり優秀だ、これほど感度がいいとは思わなかったが、いいものを手に入れたぜ、俺の目も満更じゃねーな」 「ど……どうでもいいけど……そろそろローターを……外してくれ、ハァハァ…」 テツが何を言おうが、そんな事はどうでもいい。 乳首から伝わる振動が腹の中に伝わり、テツが指を動かす度に体がビクビクして、腹ん中から快感が湧き出してくる。 「誰も見ちゃいねぇ、な、思いっきり感じてみな」 なのに、テツは空いた手で俺のナニを握ってきた。 「あうっ……!」 そこは張り詰めていたので、ぎゅっと握られて変な声をあげてしまった。 「いいぞ、恥ずかしがるな」 テツは竿を扱きながら体内を刺激する。 これで感じたら……俺はきっと戻れなくなる。 不意に危機感に襲われたが、体はどんどん昂っていった。 「ああっ、ハァハァ、イ、イク……、んっ! んんー! はあぁっ……! ああ……あぁ」 テツの手の中で竿が脈打ち、陶酔するような甘い痺れに呑まれた。 「そうだ、気持ちいいだろ、こないだは俺も余裕がなかったからな、へっ、こっから本領発揮だ」 射出する快感と体内の疼きが一緒くたになっている。 テツのペースにまんまとハマっているのはわかっていたが、体に力が入らず、何も言い返せなかった。 腹の中から湧き出す快感は、射精しても止む事はない。 体がビクビク痙攣し、俺は逃げ場のない疼きに悶えるしかなかった。 「ハァハァ、あっ……あぁっ……!」 「おい友也ぁ、おめぇいい面ぁしてるぞ、よし、突っ込んでやる」 もうどうでもいい。 早くどうにかして欲しかった。 テツはようやくローターを外し、鎖と手錠も外した。 「ふ……、はあ、はあ、あぁ……」 力の抜けた手首を目の前で見てみたら、手首に赤い痣がついていたが、今はそれどころじゃない。 テツは俺の頭の下から枕を抜き、それを尻の下にかませたが、されるがままに身を任せるしかなかった。 けど、ちょっと待て……中に出されたらマズい……。 そんな事をぼんやりと考えていたら、ナニがあてがわれてきた。 「うっ……!」 硬い塊が狭い穴を押し広げて中に入り込み、一瞬体が強ばったが、ぐっと突かれて快感が走った。 「はうっ……、あぁっ!」 テツのナニは上に反ってるから、上を擦り上げてくる。 多分、そのせいだ。 「おめぇ、前立腺の感度最高だな、おい、背中を抱け」 言われるままに背中を抱いたが、テツはわざと浅く出し入れして、感じる箇所を突いてくる。 俺はまだ2回目なのに、前回感じた苦しさや違和感が消えていた。 「う"っ、そこ……、ああっ!なんか、くる、ハァハァ」 そればかりか、下腹がぎゅっと締め付けられるような快感が、さっきより強くなってきた。 「素直に感じてりゃいいんだよ」 「ハッ! ……あぁーっ、もうっ……くうぅ……!」 体中が淫靡な痺れに包まれ、浅黒い背中を夢中で抱いていた。 「はあ、いいか、口ぃ開けて舌を受け入れろ」 テツは唇を重ねて舌を入れてきたが、茹だるような意識の中で異常な高揚感を覚える。 俺は暴れ回る舌に自分の舌を絡め、混ざり合う唾液を当たり前のように飲み込んだ。 尻の下に枕をかませてるせいで、ナニは腹の中を深く抉りあげてくる。 「ふっ、ぐっ……!」 くぐもった声を漏らしたら、テツはキスをやめてグッと奥を突き上げた。 体内で脈動を感じた瞬間、体が強く痙攣し始めた。 「う……あ"……あ"っ……ああ"」 「おめぇ2回目にしてドライイキしやがったな、さすがは俺、テクにゃ自信があるからな、へへー、な、おい、これから楽しくなるぞ」 テツは得意げに言ったが……。 半立ちのナニがダラダラと体液を垂らし、体がビクビク痙攣している。 「ハァハァ……あ"……あ"……」 こんなのは初めてだ。 死ぬほど気持ちいい。 なのに……今度は本気で泣けてきた。 「うっ、ううっ……」 「おい、なんで泣くんだよ」 「俺……感じたくねーのに、こんな……ううっ」 こんな事をされてめちゃくちゃ感じる俺は、完璧にそっち側の人間じゃないか。 俺はこんなの望んでなかったのに、テツのせいで否が応でもこうなってしまう。 「ふうー、しょーがねーな、泣くな、いいじゃねぇか、俺の前限定なら誰にもバレねーだろ?」 「テツ……限定?」 「おお、そうだ、お前は俺だけとやるんだからな、それならいいだろ」 「ううっ、微妙だ……」 「んだよ……、いいか? 泣いても無駄だぞ、俺はお前を抱く、嫌ってほど抱いてやるからな」 テツはまだまだやると宣言した。 俺にとっては災難としかいいようがなかったが、テツは片腕で俺を抱いたまま、まるで小さなガキを宥めるように、俺の頭を撫でていた。 俺に無理矢理あんな事をした癖に、今は嘘みたいに優しい。 テツは身勝手なところもあるが、基本的には優しいんだろう。 だから、翔吾の乳母役になった。 今だけ……ちょっとだけ本来の自分を裏切って、テツの背中をぎゅっと抱き締めた。 「おっ、へへー、俺に惚れたか?」 テツはドヤ顔で聞いてくる。 「あんたが抱けって……言ったからだ」 感じてしまったのは確かだが、そう簡単に認めてたまるか。 「ふっ、そうか……」 テツはそれ以上何も言わなかった。 俺は……本音を言えば、テツの事は嫌いじゃない。 テツは翔吾の補佐兼乳母役として翔吾に付き従っているが、翔吾は親父さんに甘やかされてるせいか、時々我儘を言う事があった。 そんな時、テツは常に冷静に対処し、翔吾を上手く導いていた。 それから、俺はテツが暇を見つけては体を鍛えている事も知っている。 翔吾の屋敷に通ってた時に、テツの座敷をこっそり覗いた事がある。 テツは上半身裸で、ジムにあるようなトレーニングマシンを使用中だった。 その後見つかってしまい、レスリングの技をかけられてしまったが、俺の中のヤクザのイメージは、もっと堕落した生活をしてるイメージだった。 なので、真面目に筋トレするテツを見て密かにすげーと思っていた。 テツは惚れた腫れたとかそんなんじゃなく、元々好感が持てる相手だった。 だから俺は……体の熱が冷めるまで、テツを抱き締めていた。
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