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「親分に言うんだろうどうせ」
「君次第だ」
「だって金もらってんだろう」
「だから君次第だ」
「逃がしてくれんのか?」
「それも君次第だ。連れ出した女性はどうした?」
徳田は女に売春をさせているなら許すつもりはない。一緒に暮らすつもりなら応援してやってもいいと思った。一人の女が悲しみから抜け出して新しい一歩を踏み出せるならそれに越したことはない。依頼金は経費を除いて返してもいい。
「親分を裏切ったのは情けない。15ん時に声を掛けてもらったんだ。あんないい親分はいない」
佐久間は手を握り締めた。
「いい親分もやくざだ。素人から金を踏んだってる。その踏んだ食った金で君を捜しに来た。同じ穴のムジナだ」
「親分はシャブには手を出さない」
「だけど売春はやってる」
「それは貧しい女が多いからだ」
「貧しい女は身体を売るのか?」
「仕方ねえだろう、それしか生きる道がねえんだから」
「内職で暮らしている女もたくさんいる。一度一線を越えると、もうそれでもいいと諦めてしまう。そして悲しみが続くんだ。君が連れ出した女、奈美恵さんて言ったっけ?彼女は足を洗いたくて君と逃げたんじゃないのか?」
徳田の問いに佐久間は横を向いた。
「あんたの言うようにきれいごとじゃ行かねえよ。成り行きで済んじゃうことの方が多い世界だ、やくざもパンパンも」
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