門前小僧の寺日誌

四十九日

ある日住職(ボス)に
「山田さん四十九日って分かってるよね？」

「へ？」
何を今更？

「中陰(ちゅういん)、亡くなられた方が7人の仏様の下で一週間づつ勉強してあの世に旅立つまでの期間、7人×7日＝49日、ですよね？」
セオリー通りの回答だと思う。

「そう。よかった分かってるね。」
住職は安心した顔をした。

「どうかしたんですか？」

「この前ね、田中さんが、お墓をご契約の方に法事の説明する時、四七日(よなのか)を間違えて四十九日って答えてしまって…後で私が訂正したんだけどね…今一度スタッフに周知しておいてもらおうと思って。」

おいおい、そこ間違えるなよ！田中さんもう2年はここの仕事してるのに…
田中さん、私よりの6歳年上、50歳は過ぎてるのに…。
仏用語は年齢って関係ないのかぁ。経験か？興味か？寺に働きに来てる時点で自ら学ぼうとしないのは…。ちょっとなぁ。

「まぁ、後でグループラインで最低限知っておいて欲しいことは知らせるから読んどいてね。」

「はい。」
住職が出て行った。