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「いらっしゃいませ〜!こちら転生案内所となっております!受付は私、えっと〜……私の名前って何でしたっけ」
「この世界の職員に名前なんてないよ。それに選挙みたいにアピールしなくていいから」
「あ!そうでした!」
あのとき駄々をこねていた女性は今……僕のアシスタントとして働いている。
この職場は死後の世界にある。
だから不慮の事故で死ぬことはない。
そして恐らくだが、この女性の生前勤めていた会社よりはホワイトだろう。
忙しいのは忙しいが。
「あ、そうだ、今日会社の忘年会らしいぞ」
「え、ホントですか!?やったー!」
この会社は上下関係が神様と僕ら管理者くらいの判別しかされていないので忘年会はほぼ同級生同士の同窓会である。
これが一番平和的解決方だった。
彼女は始め渋々だったが今は中々楽しそうに働いている。
「先輩!」
僕は彼女に先輩と呼ばれている。
中々に照れくさい。
ちょっと嬉しいのは内緒だが。
「なんだ?」
「私、今が人生の中で一番楽しいです!!」
「……どうしたの急に……ていうか、僕たちはもう死んでるよ?」
「そういうことじゃないです!!……私、今を楽しむことにしました。常に今までで一番楽しかったことが今だったら、きっと、最高な人生ですよね!」
「……あぁ、そうだな」
……この後輩にはいつまでたっても勝てる気がしない。
僕は手元にある風に揺れるコーヒーの煙を見ながら、そう感じた。
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