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「まぁ取り敢えずそこら辺でちょっと話でもどうですか?」
そう言いながらわざとらしく悪い笑みを浮かべるスカリ。
一方で真壁はそれにすら気が付かない程に動揺していた。突然現れた謎の女性が自分の恋人から依頼を受けたと確実な証明をして見せたのだから。
真壁は戸惑いが隠せぬまま何も答えずスカリを見下ろしていた。
「おーい?」
そんな口も顔も体も動かさない真壁に対し、スカリは顔前で手を振り反応を確かめる。だが見えていないかのように反応はない。
「何もんだ?」
「え? だから何でも屋って言ったじゃん」
「目的は何だ?」
「だからそこら辺も含めて話をって。話聞いてる?」
依然とサングラス越しながらも睨み付けるようにじっとスカリへ視線を突き刺し続ける真壁。一方でスカリは微かに眉を顰め小首を傾げたまま。
「――分かった」
「よーし、それじゃあ行こうか」
それから移動した二人は近くのカフェへ。テラス席で向かい合って座り、それぞれの飲み物が到着してからまず真壁が口を開いた。
「お前は一体――」
「だから神速スカリ! もう何屋でもいいって。依頼人は吉川光里。説明はめんどいからこれ聞いて」
スカリは先程のスマホを取り出しイヤホンと共に真壁へと差し出した。真壁は片耳だけ付けると早速その音声データを再生し始めた。
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