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「とにかく明日の細かい時間と場所はあとで送る」 「はいよー」 「つーか、コントラクターが悪さしてるってのはそいつらの元々のもんだろ」 「人間は力を手に入れると大きくなっちまうんだよ。もし契約なんてもんが無きゃ、起きなかった犯罪もあるだろうよ」 「もしコントラクターが消えたらおめーは無職だな」  ニヤリ、勝ち誇ったようにも見える表情をルエルは浮かべた。 「何言ってんだ。そうなったら一課だ。古巣に戻るってやつだな」  その隣で一足先に食べ終えたスカリはお箸を置き、手を合わせると丁寧に挨拶を済ませた。 「そんじゃまた明日~」  そして立ち上がったスカリは早足でドアまで行くと先に開いてから振り返った。 「須藤さーん。ご馳走様~」  満面の笑みで華麗に手を振りそれを言い残すと何かを言われる前に風の如き足取りで外へ。 「スカリおま――」  一瞬、慌てた様子で振り向く須藤だったが直ぐに諦めたと溜息を零した。 「おい! 金さえ払えりゃ誰でもいい。逃げんなよ」 「スカリちゃんの分はちゃんとスカリちゃんから貰うのでいいですよ」 「ダメだ! あの野郎から金は舞い降りない」 「公務員舐めんな。こんくらい払ってやるっての」  それからゆっくりと定食を食べ終えた須藤はちゃんと二人分の食事代を払って仕事へと戻った。  * * * * *
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