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 雲一つない蒼穹から燦々と降り注ぐ陽光と囁くような風。子ども達の活発な声がどこからともなく聞こえてきそうな平和な日。外でゆったりーー思わず全てを放り出し穏やかに過ごしたくなる中、その建物は降り注ぐ日差しに負けじと華やかな光を放っていた。  そんな真昼間とは相反する建物へ入っていく少し背中を丸めた男。オールバックに派手なシャツは胸元を開け、金のネックレスが睨みを利かせている。サングラスを掛けた男は、両手をポケットに入れたまま入口の中は見えないエアードアを通り抜けて行った。 「こんな時間からカジノ?」  カジノへと入って行くそんな男と距離を取りながら視線を送る女性は眉を顰め一人静かに呟いた。  物陰からそっと顔を覗かせる一人の女性。それはお洒落にまとめられた金髪にサングラスを寝そべらせた神速・T・スカリ。下にはカーゴパンツのようなパンツとブーツ、上には水着のようなクロップドトップスとその上から長袖のシャツを羽織っている。顔を見せる腹部は括れ程よく鍛えられていた。そして片耳では複数のピアスが反対側の片手では指輪が煌めく。 「チンピラって暇なのかな?」  一人で小首を傾げたスカリはサングラスを下ろすと物陰から離れ、カジノへと少し軽くなった足取りで向かった。
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