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「私はもちろん――自分」  すると何も無かったはずの手にも同じ拳銃が一瞬にして現れた。  そして床をひと蹴りしルーレットテーブルに跳び乗るとスカリは両手の銃を構えた。 「プレイスユアベット」  言葉の直後、辺りに鳴り響く銃声の連打。同時にコントラクターは引き続きテーブルでその猛攻を防ぎ続けた。  だが、一枚また一枚とカードが捲れるように変わっていく戦況。コントラクターはそのままテーブルをスカリへと投げ飛ばした。銃弾を防ぎながらテーブルは真っすぐスカリへと向かっていく。ほぼ同時に彼女も足元を蹴り飛ばすと正面のテーブルを迎え撃った。  しかしスカリはすぐに両手に持っていた銃を左右へ投げ捨てる。空中を駆け――溶けるように消えていった銃。その間にテーブルは目前へと迫っていた。  そして横一閃。銃に代わり右手に握られた刀はテーブルを真っ二つ、上下に斬り分けた。隙間から顔を見せたスカリとコントラクターの目が合うと勝ち誇った笑みが浮かぶ。 「ノーモアベット」  スカリは足元を通り過ぎようとしたテーブルを足場に一気に間合いを詰めた。刀を構え接近するスカリに対しコントラクターは組んだ両手を頭上で構える。そして完璧なタイミングで振り下ろされた。  だがしかし両手は空振り。コントラクターの眼前から消えたスカリの姿は既に背後へ。手元でクルリ刃と峰を逆にした刀を構えるとそのまま殴り――はせず、片足を軸に体を回転させながら蹴りを突き出した。  その勢いのままコントラクターは無抵抗で床へと飛び込んだ。音で分かる程に強打したにも関わらず、直ぐに立ち上がろうとしたコントラクター。だが振り下ろされた足が透かさず床へと戻した。
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