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 そして刀から変わった銃が不穏な音を鳴らす。 「グットラック」  笑みと共に送られた言葉の直後、鳴り響いた一発の銃声。  だが銃弾は頭を外れ床に穴を開けただけ。わざと外したスカリはすぐに頭を蹴り飛ばしコントラクターを気絶させた。 「はい。手を上げろー。警察だー」  するとそのタイミングでやってきた数名の制服警官を引き連れたスーツの男は、面倒臭そうに言葉を並べた。無精髭と白髪交じりの髪の男はあまり健康な生活は送っていなさそうな容姿をしていた。  そして男を含めて警察は誰一人として銃を構えておらず、そこに警戒心はない。 「一つ貸しって事で」  武器の消えた手の片方で人差し指を立てて見せたスカリはそのまま歩き出すと男の元まで足を進めた。 「ったく。んな事ならわざわざ来るんじゃなかった」 「たまたま居合わせただけだって。んじゃ、あとはよろしく。須藤さん」  そう言って刑事部捜査第五課の刑事――須藤葉介の肩をぽんっと叩き、スカリはカジノを後にした。カジノ客が野次馬のように中の様子を伺う外へ出たスカリはざっと辺りを見回す。だがあの男の姿は群衆の中にも周辺にもなかった。
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