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ちさとは、沙菜とは違っていた。語学の遅れを取り戻そうと自室に籠もって勉強する沙菜をちさとは腫れ物に触るかのように放置した。手伝ったり勉強を教えたり出来なかった。ちさとにとって沙菜は常にお姉さんで、自分よりもデキる女だったから、ちさとが沙菜に教えるという立場逆転がスムーズにできなくて、ちさとが分かる英語を沙菜が分からなかった時にはちさとは困惑するしかなかった。沙菜はますます自室に籠もるようになりちさとは、沙菜以外の依存先を見つけようとしてしまった。友達を他にみつけた。その行動が沙菜にますます追い打ちをかけ、沙菜は孤独になっていった。それでも彼女は自力、一人きりで頑張ろうとしたが、待ってくれる人がいなくなると、彼女の頑張りの糸は切れてしまった。どれだけ努力してももう集中力がつづかない。そもそも何の為に頑張りたいのか分からない。慣れない土地で慣れない慣習に合わせなければならず慣れない人たちの中で何を目標にしていいのかも分からない。
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