9人が本棚に入れています
本棚に追加
伝えたい想いを君に
カラフルなスポットライトがライブ会場を照らし
メンバーカラーのサイリウムを手に
黄色い悲鳴を上げる観客。
わたしは皇くんのメンバーカラーである
青色のサイリウムとうちわを持っていた。
ステージの上に立つ皇くんはいつもより
断然眩しい。
皇くん、会いにきたよ。
わたしはうちわを高く掲げる。
その瞬間、皇くんが驚いたような
表情を浮かべ幸せそうに笑った。
「僕も高校生の頃から、愛理亜さんのこと、
好きでした。愛理亜さんは
気づいてなかったかもしれないけど
僕、愛理亜さんのクラスメイトだったんです。
あと1回君に会いたくて僕は君に会いに行った。」
え?
クラスメイト?
てか、皇くん、普通に喋ってない?!
そういえば、皇って名前の子いたような……。
あの地味な子が皇くんだったの!?
……まさか、行き倒れてたのって
わたしに会うためだった?
皇くんからステージから降りて
わたしに向かって一直線に歩いてくる。
観客はざわめき、警備員さんは慌てているけど
皇くんは気にせずわたしだけを見つめている。
「愛理亜さん、僕と結婚してください!!」
わたしの手を握る皇くん。
その拍子にわたしの手から
『好きです』と書かれたうちわが落ちた。
「えぇぇぇーーーーーっ!???」
どうやら、あと1回だけではなく
この先何回も君と話すことになりそうです。
(終わり)
最初のコメントを投稿しよう!