お風呂上がりの推しは目の毒です。

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お風呂上がりの推しは目の毒です。

母と弟の悲鳴が夜の住宅街に響く。 「なんで皇くんが我が家の玄関にいるのよ!! どういうこと??」 皇くんに興味なさげだったお母さんと伊月まで 興奮してるんだからテレビの影響力って すごいなぁ。 「皇くんがそこの道路で行き倒れてたから 拾ったの。帰りの新幹線の切符 無くしちゃったみたいで」 「いや、アイドルが 行き倒れるってどういうことだよ」 「まぁまぁまぁ、 じゃあぜひ今夜はウチで休んでいってちょうだい! あ、あとで一緒に写真撮ってもらえます?」 「ありがとうございますっ! はい!もちろんです!」 「あっお母さんずるい!! 皇くん!わたしとも一緒に撮ってください!」 「あはは、皆さんで一緒に撮りましょうか」 皇くん、優しい!! 天使、神!! 「とりあえずお入りくださいな! 緑茶とコーヒー、どっちがいいかしら!?」 と、まぁこんなかんじで推しを 我が家に迎え入れてしまった。 どうしよう。幸せすぎる。 その後、父さんは仕事なので お父さん抜きでみんなで写真を撮った。 ごめんね、お父さん。 やば、この写真家宝にする! 「あら、もう8時なのね! 疲れさせてしまってごめんなさい! 一番風呂に入ってくださいな」 お母さんが皇くんににっこり微笑む。 「わぁ!!ありがとうございます! でも、いいんですか?」 「いいの、いいの! ゆっくりお風呂に浸かって疲れを癒してください!」 皇くんがお風呂に入り わたしは今日の課題がまだ終わっていないことを 思い出した。 やばい、 今日は国数英の課題があるんだった! 皇くんがお風呂から上がるまでに 一教科だけでも終わらせなければ! 国語の課題が終わったそのとき 「ギャァァァァァァッ!!?」 と干からびた猫のような悲鳴が上がった。 お風呂場の方から聞こえてきたけど……。 急いでお風呂場に向かうと 仕事から帰ってきたお父さんと半裸の皇くんが 向き合っていた。 「な、なんでここに芸能人が!!!」 皇くんは腰にタオルを巻いてはいるものの 肉体美を隠せていない。 キラキラとしたオーラと色気が半端ない。 「あ、初めまして、一晩お世話になります」 「いや、全然状況がわからないんですけど!? てか、愛理亜尋常じゃないくらい鼻血出てるよ!?」 「あ、全然大丈夫。 これは推しの半裸を見れたことによる 興奮の鼻血だから」 「……」 やっぱり推しの裸は目の毒だ…… 私はあまりの幸せに昇天した。
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