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グリム兄弟
俺は明智小五郎の息子だ。
俺は英和辞書を読んでいた。ページをめくるたびに、単語の意味や用例が脳裏に刻まれていく。突然、目に留まった単語があった。
「grim(恐ろしい、最上級)」
この言葉には何か引っかかるものを感じた。読み進めると、そのすぐ下にもう一つの単語が目に飛び込んできた。
「GRIMM(グリム兄弟)」
思わず、俺はそのページをじっと見つめた。どっちもスペルはグリムだ。だが、意味はまったく異なる。grimの方は冷酷さや恐怖を感じさせる言葉で、GRIMMの方は童話作家として知られる兄弟を指す。しかし、どちらも何か暗い影を帯びているように思えた。
俺の頭の中で、恐ろしい物語が浮かび上がってきた。グリム兄弟の童話は、子供向けの物語として知られているが、その根底には常に不気味で恐ろしいテーマが隠されている。そして、grimという言葉もまた、何か冷たい恐怖を感じさせる。
俺はふと、幼い頃に読んだグリム兄弟の物語を思い出した。『赤ずきん』、『白雪姫』、『ヘンゼルとグレーテル』…。それらの物語には、常に危険が潜んでいた。そして、それらの危険を描く言葉には、grimという冷酷さがあったのではないかと思った。
そんな考えに浸っていると、突然、背後で音がした。振り返ると、そこには誰もいない。だが、部屋の空気が一瞬にして冷たく感じられた。俺は本を閉じ、立ち上がった。何かが俺の注意を引こうとしているかのようだった。
俺は部屋の隅に置かれた古い本棚に目をやった。その棚には、ずっと忘れ去られていた一冊の本があった。表紙には、グリム兄弟の名が金色の文字で書かれていた。
俺はその本を手に取り、埃を払いながらページをめくった。すると、どこからともなく低い笑い声が聞こえてきたような気がした。心臓が早鐘のように打ち始める中、俺はその本の中に隠された何かに引き寄せられるように、さらにページを進めた。
やがて、ページの一つが何かに引っかかり、俺の手が止まった。そこには、まるで古い紙が挟まれているように見えた。俺は慎重にその紙を取り出し、広げた。その瞬間、部屋の照明が一瞬揺らぎ、影が大きく揺れた。
紙には、奇妙な文字でこう書かれていた。
「真実を知りたければ、再びgrimの影を追え」
その言葉を見た瞬間、俺の背筋に寒気が走った。grimという言葉は、ただの単語ではなく、何かもっと深い意味を持つものだったのかもしれない。俺はその夜、長い間眠れなかった。グリム兄弟の童話の世界と、grimという言葉が持つ恐ろしさが、現実と交差し始めたのではないかという不安が、俺の心を締め付けていた。
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