「さあ、死を捧げましょう」

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 セラは真っ直ぐにローブの美女を見据え、尋ねる。 「貴女(あなた)は?」 「申し遅れました。わたくしの名は、アビス・ラムレイ。皆さん『シスター』と呼んでくださいますの。あなたのお名前を教えてくださいまし。名を呼びたくても呼べませんわ」 「私は、セラ・パワーズ。恋人を捜していて――」  セラはアビスに恋人のことを尋ねることにした。彼の名前、職業、行方不明になった日付、その日に着ていた服装を全て伝えた。 「そのような男性は確かにここへ来ましたわ」 「本当⁉ 今何処にいるかわかる?」 「エエ。わかりますとも。すぐにでも教えてさしあげたいのですが、その前に、わたくしはお父様へ祈りを捧げなければいけませんの。少しの時間お待ちになっていただくか、共に祈りを捧げてはくださいませんか?」 「わかったわ」  セラは今すぐにでも彼の居場所を知りたいが、シスターが祈りを捧げることに対して好意的であった。しかし、彼女には疑問があった。 「神父様はいらっしゃらないの?」 「神父というものはここには存在いたしませんわ」 「そっか」  こんな森の奥深くにあるならば、仕方ないか。と、セラは納得した。 サンプルはここまでです。 全四章ある文学フリマ大阪の新刊をよろしくお願いします。
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