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「……これが、執念のなせる技か」
「面白いことになったわねぇ」
「いや、しかし……このままでは結局な……」
目の前が真っ白になったかと思えば、何やら話し声が聞こえ始めた。
あれ? 私、まだ生きてるのかな?
とりあえず声のする方を見ようと顔を上げる。
すると、そこにいたのは―――
「ん……? キノコ……? それに、タンポポと……鳥?」
お腹が空きすぎて幻覚でも見えるようになったのだろうか。
目の前にはちょこんと可愛らしく座った食材……? が並んでいた。
「美味しそう……」
「えっ、いや、待て待て待て。この期に及んでまだ我らを食べようとするのか……?!」
「食材が、しゃべった……? ……まあ、いっか。まずは、食べないとね」
何やら不可思議なことが起こっているような気もするが、とりあえず何か食べないと。
そう思い、真っ黒なキノコに手を伸ばすと、いつもと違うことに気がついた。
「えっ、私は美味しそうではないでしょう……?!」
「あれ、お腹空いてない……?」
奇しくも、2人(?)の声は重なった。
そういえばさっきから今まであった倦怠感は消え、何だかふわふわとした感じがする。
それに何より、私がお腹空いてないなんて……何か、おかしい。
何事だろうと考えながら、下を見ると―――
そこには私の身体があった。
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