限界をこえた私に捧ぐ

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「私がもう1人……いる?」 もう1度自分の身体を見つめる。 よく見ると、今の私のカラダは透けており、空中にふわふわと漂っていた。 「いわゆる、幽体離脱というやつだな。まだ生きてはいるようじゃ」 「なるほど……? でも、私はそんなスキル持ってないよ?」 「……まあ、今、スキルが覚醒したのではないか?」 「ええ? スキルの覚醒は6歳のときしかおこらないんじゃ……?」 はてと首を傾げつつ、とりあえず今何ができるか確認しようと、周りを飛び回ってみる。 「おおーものは透過できるのか……! ちょっとこれ、楽しいかも」 「なあ、我らのことは無視してるのか……? ちょっとマイペースすぎない?」 「んん…? そういえば、さっきから何か喋ってた……?」 そういえば思考をアシストするような声がしていたような気もする。 机に視線を戻すと、そこには先程食べようとしていた食材がいた。 「おっ! ようやく見てくれたのう」 「あなたが、喋ってたんだ?」 「そうじゃぞ。……普通そんなに無視できないと思うんだがなあ」 困ったように(?)鳥に話しかけられる。 隣を見やると、何故かキノコがブルブルと震えていた。 この小屋には他にしゃべりそうなものなど何も無い。 いや、決して食材も喋るものではないのだが…… どうやらこれらが声の主であるようだ。 話し相手も分かったところで、まず私がしなくてはならないのは――― 「パン屋さんに行くか!」 「いや、なんで?!」 アンパンを買いに行かなきゃね! そうして元気よく小屋を飛び出した。
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