番外編・誤解の星の下で(1)

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番外編・誤解の星の下で(1)

「……やっぱり怪しい」  最近、クリストフ様の様子が怪しい。  いつも仕事の空き時間には必ず私のところへやって来て、「俺のシルヴィア……」と囁きながら抱きしめてくれていたのに、最近ぱったりと来なくなってしまった。  それどころか、噂によれば、女性と一緒にいるのを何度も目撃されているらしい。しかも毎回違う人と。  クリストフ様にそれとなく聞いてみても話をはぐらかされてしまうし、二人でいるときも、たまに上の空になっていることがあるし、まさかこれって……。 (浮気……!?)  最悪の展開を想像してしまい、私はその場でふらりとよろける。 (えっ、嘘でしょ!? 私たち、付き合ってまだ3週間も経っていないのに!? 結婚の約束もしているのに……!?)  でも、①他の女の影がある、②隠し事をしている、③二人でいても別のことを考えている──。  ……ここまで出揃ってしまったら、浮気以外に何があるというのだろうか。 (クリストフ様、あんなに何度も私のことを可愛いだとか好きだとか言ってくれたのに……。もしかして、熱しやすく冷めやすい人だったの……!?)  私の運命の人だと思ったのに、《魔女の目》だなんて大層なものを持ちながら、結局は浮気者の本性を見抜けなかった役立たずの節穴だったのだろうか。 (ううん、でもまだそうと決まった訳じゃない。ちゃんと確かめないと!)  そうだ。思い込みで疑ってしまうのは一番よくない。こういうときこそ冷静に立ち回らなければ。 (まずは聞き込みから開始しよう)  私はクリストフ様に気づかれないように関係者から聞き込みをすべく、ローブを頭からすっぽりと被って離宮を抜け出たのだった。
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