皆一緒が良い

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狼は、空腹を抱えていました。 お腹が空き過ぎて死にそうです。 お腹の虫がぐぅ~と鳴きます。 (腹へったぁ~) とうとう我慢が 出来なくなった狼は、 一人になった赤ずきんちゃんの 前に飛び出しました。 (泣き叫んだら 誰かが来る前に 食ってやる~)そう思い狼は、 大きな口を開け 赤ずきんちゃんを 正面から迎えます。 しかしその途端 ぐぅ~っと狼の お腹の虫が鳴きました。 その途端 狼は、一瞬だけ 緊張感が抜けてしまい動きが少し 止まってしまいましたが すぐに我に返り (どうせ食うんだ関係ない...) 狼は、気を取り直して 「俺に肉をくわせろ~っ」と 大口を開けて 赤ずきんちゃんに 襲い掛かります。 しかし状況に反して赤ずきんちゃんは 瞳をキラキラさせて狼に呼びかけます。 「狼さん お腹すいてるの? お肉が食べたいんだね! 任せて! お母さんのお肉料理は とっても美味しいよ!」 そう言って赤ずきんちゃんは、 狼の前足をがしっと摑みました。 狼は、赤ずきんちゃんの 言葉に「へっ?」と思わず 気の抜けた声を出してしまいました。 狼は、赤ずきんちゃんが自分を 引っ張って行くので拒絶する為に 抵抗しました。 「離せ!」狼は、赤ずきんちゃんの手を 振りほどきました。 その途端 赤ずきんちゃんは、 尻もちを付いてしまいました。 「痛い!」その声を聞き狼は、 はっとなり 調子が狂い バツが悪くなり 赤ずきんちゃんに 背を向けて駆け出しました。   (俺が人間と一緒に飯なんか 食えるか!) 狼は、前足と後ろ足を動かして 森の奥深く消えました。
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