7人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日。
誰も居なくなった静かな支店に、新開が1人。
他の従業員は皆、佐伯の見送りに向かった。
「……」
新開は佐伯の見送りには行かなかった。
顔を会わせたら、お互い泣く自信しかないと2人で話したからだ。
また必ず会おう。
そう約束をして、何度もキスをした昨夜。
そんな光景を思い出しながら、空っぽになった佐伯のデスクを撫でる。
その目には、また涙が滲んでいた。
「…別れじゃない。また、会うんだから」
そう言い聞かせながら自分のデスクに戻る。
新開のデスクの上には
昨夜別れ際に貰った佐伯のボールペンが、丁寧に飾られていた。
約束しよう、また必ず会うことを。 終
最初のコメントを投稿しよう!