わたしの自信作(6)

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わたしの自信作(6)

 プリンターというものがある。  若き友が、わたしへと教えてくれた、エポックメーキングマシーーンであった!  それを使えば、わたしが描いた作品を印刷できるんだぁっ、紙にできるんだぁっ、しかもその紙は持ち帰ってもいいものなんだぁっと、わかったわたしはペイントのキャンバスに好きなものを描けるだけ描くや、何度も印刷を実行しました。  プリンターの前に立って、印刷実行されたものが出てくるのを待つわたしは、ウキウキワクワクでーす!  何色かあるプリンターのインク残量なんて、気にもしません。  学校に置いてあるのプリンターのインク残量を気にかける中学生がどこにいることでありましょう?  ……えぷそんさんやきやのんさん、あなたがたはよく考えているわ。  本体よりも、コッチがどんなにあなたがたを支えていることかしらね?  出てきた紙を手に持ち、瞳をキラキラさせるわたしへ後ろにいたクラスメートはこう言いました。 「……それ、三谷さんが描いたの……」と。 「そーうなんだってぇっ、いーでしょ!」とわたし。 「…………ん、ぅん……ぃぃね……」とクラスメート。  ああ、そんな…………氷の上で白熊に遭遇したみたいな顔しなくていいんだってば〜〜。  ……わかってる、わかってる、言わなくともわかっとるってぇ。  これは、才能だよぉ〜〜ッ。  人は皆、生まれながらのクリエイターなんでっしゅよぉっ!!!  有形無形問わずに、人は何かを作り出してゆくものなのですわ。  …………よーーーし、もう描くだけ描いた。  人目に触れず、残されず、花火のように咲いては消えてゆく作品もあるのでしょう。  出ては消える美しき虹や雨が降った後に地面へ出来る水たまりは、わたしが理想とする創作を体現したものなのである!  明鏡止水、精神統一じゃ……愚かしき執着など、もはやするものか。  ……何かを保持したいと感じたときから、人には苦悩が生ずるのじゃ。  ……ふふふふ、中でも特別なお気に入り作品はすでに、この貴重なフロッピーディスクへ保存したもんよ。  …………もう数えるしか、技術の授業はないし、そもそも数ヶ月後には卒業だねぇ。  んーじゃ、最後にカレンダーでも作ってみよっかな?  …………ん?  待てよ、素朴な疑問が今になって現れる。  ワープロソフトでカレンダー??  いちたろうで、カレンダー??  ……ま、まぁいいですわ、中学生の頃のことですからぁ。  ねー? じゃすとな、しすてむ? それはそれでえーわな。  細けぇコト、くっちゃべってんじゃねぇって、なァ?  さんしろうよ、案ずるでない。  もちろん、エイトックは、大好きさ!
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