12人が本棚に入れています
本棚に追加
心の距離が近過ぎる…。
山村の言うことも一理あるかもしれねー。
山村は、それでなくても対人交流に長けている。
頑なな香澄の心に優しく寄り添えるかもしれねー。
「わーった。ただし、デートの時に香澄が話さなかったら、だぞ」
『うん!香澄ちゃん次第だねー』
『千夜くん、健闘を祈ります』
とりあえずデート後の休日も空けておくことにした。
そして、香澄とのデートの日。
親父が会合でいねーのを良いことに、厨房で朝から2人分の弁当を作る。
鮭と昆布の握り飯、出汁巻き卵、キャベツの千切り、後、香澄が喜びそうな、タコ足ウインナーとウサギの林檎。
映画は確か香澄の希望で甘ったるい恋愛ものだった筈だから、退屈しそうだが、公園で同じ昼飯を食うのも悪かねー。
俺は巾着袋に弁当をそれぞれ入れると、一旦、自室に戻る。
映画は当日券を俺が奢るが、生徒手帳を持って行けば、確か学生割引される筈だ。
財布とケータイ、生徒手帳をジーンズのポケットに入れると、俺は屋敷をバイクで出発した。
古屋敷の前まで行くと、香澄はもう外に出ていた。
花柄のブラウスに、淡いピンクのカーディガン。
下は最寄り駅までバイクで行く事を言ってたから、ベージュのスラックスだが、香澄は何着ても似合うな。
最初のコメントを投稿しよう!