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「鈴木の成績なら、ホントになれそうだな」
確か山村は、将来は自分の料亭を持ちてーという夢があった筈だ。
そういや、香澄の将来の夢って何だろうな。
まだ付き合い始めて日が浅い俺は、香澄の将来の夢をまだ聞いてねー。
そう思って再び香澄達が居た方に視線をやった時には、もう彼女等は居なくなっていた。
「鈴木。香澄の様子が変じゃなかったか?」
「諸橋さんの…ですか?いつもとお変わりなく、明るく見えましたが?」
鈴木は怪訝そうに俺に返した。
だが、確かに笑顔が引きつってたように見えたんだがな…。
俺の気の所為だと良いんだが。
「諸橋さんについて気になる事があるなら、直接訊いてみたら如何でしょうか?」
まあ確かに俺と香澄は付き合ってる訳だし、それが一番手っ取り早いだろ。
その上で何ともなけりゃー問題ねーし。
徐々に人がバラけていく。
「千夜くん。午後の授業が始まります。僕達も、そろそろ自分達の教室に戻りましょう」
「ああ。それは良いけどよ。次の授業、春日部(かすかべ)じゃねーか。ったりぃな」
「駄目ですよ。担当教師が誰であれ、エスケープは。これもパティシエになる為の試練です」
やれやれ…試練、ねえ。
気が進まねーのに変わりはなかったが、そう鈴木に言われたのも有り、俺は鈴木と教室に戻った。
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