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放課後。
俺と香澄、鈴木の3人で徒歩で帰路に着く。
といっても俺はバイクを引きながら、だが。
「千夜くん、お言葉ですが、これからはバイク通学も控えた方が良いかと存じます」
鈴木の突然の駄目出しに、俺は面喰らった。
「あ?これから暑くなるからか?」
「違います!バイク通学も本来なら校則違反です。内申書に記入されると、卒業自体に支障が出るので、見つかる前に止めた方が良いです」
面倒くせーな…。
だったら朝だけでも田中(たなか)に車で送ってもらうか。
田中とは千夜組の一員で、組長である親父の右腕だ。
俺の家は極道だから、跡継ぎを欲しがってる親父に頼まれたとかで、以前は田中によく扱かれていた。
お陰で喧嘩の腕は、まだまだ親父や田中には及ばねーが、そんじょそこいらのチンピラや不良相手なら負け知らずだ。
香澄が今の高校に転入してくる前は、俺は不良仲間達と他校の不良達相手に喧嘩に明け暮れていた。
香澄が、俺を変えてくれたんだ。
最も、親父からは未だにパティシエになる許可を得ていねー。
だから俺は田中にも協力してもらって、親父が納得するケーキを作らなきゃならねー。
田中は、俺が千夜組を継がなかったら、自分が跡を継がなきゃいけねーのを承知で、俺に協力してくれている。
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