新たな一歩

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今日も帰ったらケーキ作りが待っている。 期限は、卒業までだから、もう1年切った。 焦りそうになるが、今そこでそうなったら親父の思うツボだ。 話を校則違反に戻すが、田中も親父の会合に付き合わなきゃいけねー朝も有るだろうから、車で送ってもらうのは、毎朝とはいかねーな。 「そう言う鈴木だって校則違反してんじゃねーか」 意外かもしれねーが、優等生の鈴木が唯一してる校則違反。 それは、体育館裏に住み着いた野良犬達に餌をやる事だった。 「僕は犬達に里親が見つかり次第、校則違反はしません」 鈴木は悪びれる様子も無く、眼鏡のツルを上げて俺を見た。 香澄は香澄で、さっきから俺と鈴木の会話に入ってこねー。 やっぱ、何か様子がおかしいな。 そうこうしてる間に、別れ道のコンビニの手前まで来た。 「それでは、僕はここで失礼します」 「応、またな」 俺と香澄に向かって会釈した鈴木は、自分の家の方に歩き去って行く。 「香澄、古屋敷まで送る」 「ありがと、千夜くん」 古屋敷とは、香澄が一人で住んでる諸橋家の持ち家だ。 香澄も前の高校で色々あったみてーで、3年の進級時に合わせて引っ越してきた。 2人きりになったところで、俺は香澄に気になる事を訊いてみた。 「香澄、何かあったのか?元気ねーぞ」
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