2話

6/6
前へ
/83ページ
次へ
 しかし次の瞬間、驚くべき一言が朝陽の耳に返ってきた。 「……っす」  聞こえるか聞こえないくらいの小さな声。 (え……)  驚いて秋吉の方を見ると、彼は椅子に座って、つまらなそうにスマホを触り始めた。  朝陽からすれば恐怖ゆえの防御策であり、必死な覚悟で放った一言だった。  それがまさか返ってくるなんて。  秋吉の挨拶はまるで飛んできたハエを追い払うくらい何もないことのようだった。  朝陽は思わず目をしばたたかせて、けだるげに着席する金髪の男を見つめた。
/83ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加