新しい学校

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「今日からこのクラスの仲間になる水川朝陽くんだ。みんな仲良くするように」  新しい学校の担任・松村が、その強面のイメージとはかけ離れた柔和な表情でそう告げた。  肌は焼け、身体のあちこちが筋肉ででこぼこしている、いかにも体育教師といった風体だ。  松村にうながされるまま、朝陽は黒板の前で頭を下げた。 「よろしくお願いします」  40人ほどいるだろうか。眼前に広がるのは、これから一緒に日々を共にしていくであろう新しい仲間たち。  真剣に朝陽を見ている者、話は聞いているものの、退屈そうに爪をちょこちょこいじっている者、隣の席の友人とにやにや笑いあっている者。  誰一人として知らない顔が、朝陽をじっと見つめていた。
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