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ーー
「ねえねえ、これ観て」
次の日、いつものように遅れて登校してきた秋吉に向かって、タブレットを広げた。
秋吉はまだ眠気がとれていないのか、それとも朝陽の熱量に驚いたのか、ぽかんと固まっている。
「……なにこれ」
「今流行りのアニメだよ」
それは昨日、雄一が熱く語っていた歴史アニメだった。
「なんかキャラクターがゴチャゴチャしてるやつだな。で、これが何?」
「だから、わざわざ教科書や参考書で勉強するんじゃなくて、漫画やアニメで覚えればいいんだよ」
「は?」
秋吉はまだ状況がのみこめていないのか、もともとアニメや漫画に興味がないタイプなのか、イマイチ反応が悪い。
けれどそんなことは、今の朝陽の目にはまったく入っていなかった。
これだ、とスイッチが入ってしまうと、相手の感情に疎くなるのが朝陽の悪い癖なのだ。
前の学校では、よく友人たちからも突っ込まれていたっけ。
そんな朝陽は、秋吉の机にタブレットを立てると、動画を勝手に再生し始める。学校でも観れるよう、昨晩、ダウンロードしておいたのだ。
「とりあえずこれ観て」
「おい……」
さすがの秋吉も、いつも以上に強引な朝陽の行動に戸惑いを隠せていない様子だった。
「この作品さ、歴史のーーとくに今回のテストの範囲である鎌倉時代から戦国初期にかけてのことが描かれててさ……」
朝陽の勢いはとどまることを知らず、空き時間と放課後をまるごと使い、秋吉とその作品を観賞した。
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