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 3月22日。  私立実灯(ジツトウ)学園中学高等学校中等部の卒業式。  卒業生総勢72名の1人である柚垣(ユガキ)は卒業式の数ヶ月前、悲しみと諦めを混ぜた笑みを浮かべた自身の特別な人である青鹿(アオシカ)に「高校には進まない、だから柚垣とは卒業式でお別れ」と言われた。  柚垣は青鹿の言葉が信じられなくて長い時間、現実逃避をしていたが、後ろ黒板に「卒業式までのカウントダウン」と明るい性格のクラスメイトたちによって描かれたころ、遅まきながら青鹿と別れないための策を練っていた。  しかしどんなに良い策を思いついたとしても富も権力もないただの中学生が実行するにはあまりにも現実離れで、柚垣は自身に落胆すると同時に両親が自身を見捨てた理由がわかってしまった。  自身を見捨てた両親の気持ちを分かってからの柚垣は「自分が何を考えてもできるはずない」と思い込んで「卒業式が来ませんように」「あわよくば青鹿と高校に通えますように」と願うことしかしなかった。  式典や行事が執り行われる日以外では学園長室から全く出ない学園長から卒業証書を卒業生全員が受け取ったことにより、青鹿と自分の繋がりがなくなったことを理解しなければならないが理解したくないことで溢れる涙を止められずにいる柚垣を除く、卒業生の顔は未来への期待で晴々としているように感じた。  卒業式後、卒業生たちはそれぞれの教室に戻って担任の感動的な言葉を聞いて中学生生活最後の「さようなら」をするとすぐ校庭へ出て記念写真を撮っていた。
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