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パラソルの下に戻りまずは食事タイム。真尋はカレーをひと口、口に含むと一瞬間を置き、首を傾げ、またもうひと口、口に運んだ。
「なに? 微妙だった?」
「ううん、美味しいです」
「美味しいよ、これ」
謙斗くんもアシストするかのようにそう言った。
「そう、ならよかった」
だけど釈然としない様子の真尋の表情が引っかかる。
「真尋?」
「これはこれで給食レベルに美味しいんですけど、やっぱり加奈子さんの特製カレーにはかなわないや」
そう言って破顔した。
目の前にある水面のように胸がざわりと揺れる。水面は光に照らされてキラリと光る、そんな所も自分の心を映し出されているかのようだった。
「加奈子さんの特製カレー? 美味しいの?」
「うん! すげー美味いんだよ、今度謙斗もおいでよ、うち……に」勢いよく話して最後しりすぼみした。「えっと、加奈子さんちに……あ、いいかな? 加奈子さん」
思わず笑みがこぼれる。
「いいよ、真尋んちだし、謙斗くんもいつでもおいで」
そう言うと自分の言い間違いが聞かれたことで真尋は恥ずかしそうに下を向き、ピンクに染めた頬を搔いた。
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