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「今日はこの後うちでお肉でも焼いて食べて、夜庭で花火でもしませんか?」
冴子さんが子どもに聞こえない音量で私にだけ耳打ちした。
「え? いいんですか?」
「もちろんよ、謙斗の夏の思い出も作ってあげたいから」
そういうことでプールの後に冴子さんの家に行き夕ご飯をご馳走になることになった。もちろん我が家の分のお金は払うつもりだ。真尋のお母さんから預かっている封筒がある。確か指で滑らせた感じ、三枚くらいだと感じた。その封筒を持っている。今は電子決済ばかりで現金をあいにく持っていない。仕方なしにその封筒を開けた。お肉を買って、野菜を買って、デザートも買って花火を買う。冴子さんの旦那さんは仕事でまだ帰ってこないらしく全て大人二人、子どもふたり分。封筒の中からお札を取り出す。一枚、若しくは二枚あれば足りると思った。
封筒の中からは千円札が三枚出てきた。
「タッチ決済とか、クレカとか使えるでしょうか?使えるでしょうか?」
私は慌てて冴子さんに聞いた。
「うーん、使えると思いますけど私が払っとくので大丈夫ですよ」
そう言って薄桃色のチークを盛り上げた。
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