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そのオパールを見たとき、私はいつかの風景が目の前に広がった。そこで見た写真のオパールという石は夕焼けのようにオレンジ色に輝いている。いつか真尋が夕焼けをバックに踊った、あのときの映像がふっと頭に浮かんで、消えた。
そんな話をしながら買い物は終わった。お目当てのものは全て買えた。ひとまず全て冴子さんにお会計をお願いしてレシートを受け取った。
「甘そうな桃あったから買ったの、謙斗大好きだもんね」
「季節ですもんね、桃いいですね、私桃食べるの何年ぶりだろう」
桃の話でひとしきり盛り上がった後、少し視界を下にずらすと一人だけ会話に入っていない男がいた。
「真尋?」
「僕、桃って食べたことなくて……」
私と同時に冴子さんも驚いて振り返った。
「ほんとう?」
「はい……」
「甘くてじゅわーって桃のジュースが中から出てきてすんげー美味しいぞ」
なかなか上手い謙斗くんの食リポに誘発されたのか真尋は俄然桃を食べたい! というモードに突入した。
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