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 すると土を踏む音が聞こえた。振り返る、小走りにこちらへ向かってくる小さな体が見えた。心臓が一気に収縮する。すぐに真尋が出られるスペースに誘導して真尋の右手を捕まえた。  真尋、もう私と一緒に暮らそう。  お母さんに頭を下げてお願いするからさ。  真尋?  私でもいいかな?  騙して人参出さないようにするからさ。  真尋を抱き上げて一気に闇を駆けた。 「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」  何度もそう、呟きながら。  家に戻り明るい部屋の下、真尋の姿をもう一度確認した。 「おかえり」  そう言うと少し照れたように真尋が言った。 「ただいま」  作ってあったカレーを温める。 「お腹いっぱいかな?」  そういえば夕食はもう食べたはず。そんなことも気が動転して気づかなかった。慌てて火を止めようもすると「食べたいです」という言葉が背後から降ってきた。  カレーをテーブルの上に乗せると真尋はきゅっと口角を上げた。そしてスプーンに大きくひと口を乗せ、一気に頬張る。 「そんなに入らないでしょ」  私が笑うと真尋もエヘへと笑う。  この時間がずっと続けばいいのにと思った。
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