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翌日、すぐに電話が掛かってきた。知らない番号と真尋のお母さんからだった。私は真尋のお母さんの方の電話を取った。
「もしもし」
「加奈子さん、そこに真尋いますか?」
当たり前だけど怒りの感情を抑えられないというほどの強い口調だった。
「はい、申し訳ありません」
「申し訳ありませんじゃないわ、すぐに返して」
「お母さん、提案なんですが、しばらく私が面倒を見させてもらうわけにはいきませんか?」
「はい?」
ふつふつと湧き上がる感情を握りしめるようになるべく平静を装っている感じがした。
そこへ電話越し、のんちゃんの叫びが響いた。
「うるさい! ちょっと黙って」
ついにお母さんの感情は爆発した。それは私への不満や怒りがのんちゃんの声によって引き金を引かれたような、そんな感じだった。
「すみません、すぐに施設に戻ります」
「あなたを逮捕してもらう」
「はい?」
「これは誘拐です」
「すぐに施設に戻りますよ」
「許しません」
電話はそこで切られた。
「どうしたの?」
眠そうにまぶたを擦りながら起きてきた真尋か不安そうな声を出した。なんでもないと首を振り小さく笑顔を作った。
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