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「元気そうでよかった」
青年が言う。
「こっちのセリフだ」
振り絞るように声を出す。
「ママー? その人だあれ?」
「んー? ママのお部屋に飾ってる写真の人」
そう言った瞬間厨房の方でガタンと音がした。中から急いで出てきた夫が涙を溜めて彼に駆け寄った。
「真尋くん?」
「あ、はい」
真尋は恥ずかしそうに頭の後ろを掻いた。
「あー、初めまして、話は聞いてるよ、元気そうでよかった」
「僕、就職したんですよ」
「ほんと?」
真尋は幸せそうに笑う、新たな人生を歩んでいた。
あれから私は出頭した。逮捕はされ、インターネット上で過度の誹謗中傷も受けたけどネグレクトの実態がわかると手のひらはくるりと返された。私を無罪にするよう知らない人たちに署名までしてもらった。私は執行猶予付きの判決を受けた。思わぬ形でもらえたやり直すチャンス、過去の罪と真摯に向き合い生きてきた。真尋のことを忘れたことはなかった。
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