「あと一回」は永遠に

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 拝啓、愛する旦那さんへ。  余命わずかだと宣告されてからも、ずっと支えてくれてありがとう。  あなたのおかげで笑顔でいられました。楽しかったです。  私のことは気にせず、良い人を見つけたら幸せになって。その人のことを幸せにしてあげて。  なんて、書けたらよかったのにね。  残念ながら、死を目前にしても心の広い女性にはなれなかったみたい。  だから最後にワガママを言いたくて、手紙を書くことにしました。  結婚記念日、覚えてるよね。10月8日、永遠(とわ)の日。  その日までの毎月8日に、プロポーズしてくれたレストランでパスタを食べて、私のことを思い出してください。  これを書いているのは7月9日なので、8月8日からの3回。  きっと、もう1ヶ月生きることはできないから。  結婚記念日も含めて3回、あのレストランでパスタを食べるまで、私を忘れることは許しません。  その後は……、幸せになってね。  これ以上は書けません。そんなできた人間じゃないの。察しやがれこの野郎。  ごめんね。愛してる。
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