「あと一回」は永遠に

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 10月8日。火曜日。  レストランのドアには、木製の看板がかけられていた。  “定休日”  懐かしい。  一度、君が行きたいと言った店に行ったら定休日だったことがあった。  珍しく事前に調べなかったことを謝る君が、ぐぅっとお腹を鳴らして。二人で大笑いしたっけ。  ああ、懐かしいなあ。  視界が歪んで、顔を覆った。  分かってるよ。これも「ワガママ」なんだろう?  几帳面な君が、結婚記念日が定休日じゃないか確認しないわけがない。あれから一度も、君が定休日を調べなかったことはないのだから。 「結婚記念日に、思い出のパスタを食べて君のことを思い出す」  あと1回、君が遺したワガママを達成するまで、僕は次の恋に進めないわけだ。
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