21人が本棚に入れています
本棚に追加
10月8日。火曜日。
レストランのドアには、木製の看板がかけられていた。
“定休日”
懐かしい。
一度、君が行きたいと言った店に行ったら定休日だったことがあった。
珍しく事前に調べなかったことを謝る君が、ぐぅっとお腹を鳴らして。二人で大笑いしたっけ。
ああ、懐かしいなあ。
視界が歪んで、顔を覆った。
分かってるよ。これも「ワガママ」なんだろう?
几帳面な君が、結婚記念日が定休日じゃないか確認しないわけがない。あれから一度も、君が定休日を調べなかったことはないのだから。
「結婚記念日に、思い出のパスタを食べて君のことを思い出す」
あと1回、君が遺したワガママを達成するまで、僕は次の恋に進めないわけだ。
最初のコメントを投稿しよう!