殺したいほど君を愛してる

3/6
前へ
/6ページ
次へ
1週間後、10月25日。 遺書が届いた。 おれは遺書を読み上げる。 前半は、遺産の相続のことや、家族に向けてのメッセージ。 そして後半にはおれへ向けたメッセージ。 『死んじゃってごめんね。』 『正臣(まさおみ)くん。愛してる』 『独りにしてごめんなさい』 謝罪や、愛情が(つつ)られていた。 おれはこの遺書を読み、雪の死因が自殺では無いことが確信へと変わった。 雪はやけに連続で複数回謝るのを嫌う。 おれが何度もごめんと謝った時は、ブチ切れ、家を出ていくほどだった。 本人も、謝罪はどれだけ多くても1度しか行わなかった。 そんな彼女が手紙の中で13回。 13回謝っている。 明らかにおかしい。 それに、雪はおれのことを”くん”付けで呼ばない。 1度も呼ばれたこともない。 犯人は紛れもなく、和也だ。 (やつ)以外、雪を殺すのは不可能だ。 おれは、電話をかけてきた女に折り返しの電話を入れた。 そして、和也という男の連絡先が欲しい。 諸々詫びたいと伝えれば、直ぐに電話番号を教えてくれた。 奴の電話番号を入力する。 絶対許さない。 殺してやる。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加