殺したいほど君を愛してる

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人を殺した。 後悔はない。 おれは、仕事の同僚である和也(かずなり)の死体を、風呂場まで持っていく。 それを浴槽へ放り投げ、浴槽をためる。 どうせ、警察に見つかるが、家の中で死臭がするのは面倒だ。 おれは和也の死体を凝視(ぎょうし)し、にっと笑う。 5年間。 5年間に渡ったおれの復習が成功したのだから、そりゃ嬉しい。 殺した理由は単純だ。 こいつがおれの愛する人を殺したからさ。 思い出すだけで吐き気がし、おれはもう動かない和也の身体(からだ)に包丁をぶっ刺す。 5年前。 当時、おれは大学を卒業し、その頃の彼女であった(ゆき)と同居をしていた。 雪とは大学1年生の1月頃に交際を始め、3年の年月をかけ、愛し合い、結婚をすることもほとんど確定していた。 そして大学を卒業してから、おれは職を探し始めた。 雪は専業主婦となる。 話し合いで決まった話だ。 しかし、就活というのもは思っていた以上に難しく、おれは仕事が見つからないまま約半年が経過してしまった。 そして忘れもしない10月18日。
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