殺したいほど君を愛してる

5/6
前へ
/6ページ
次へ
5年ほど経った。 おれと和也は親友と呼べる中にまで発展し、会社も同じ所へ就職することが決まった。 おれはこの5年間、探偵とも協力し殺人の手がかりを限りなく探した。 もちろん警察にも訴えて見たが、もう自殺として処理されてしまったため、おれは相手にされなかった。 防犯カメラにも映っておらず、目撃者もいない。 しかし、ひとつ、警察官を渡せるほどの証拠では無いが、和也が犯人だと決定づけるものがあった。 それは、和也のメンタルの回復スピードだ。 和也は、あの事件から1ヶ月ほど経った頃には、メンタルが完全回復している様子であり、 おれが 「あの事件の事大丈夫か?」 と訊くと、 「ああ、もう完全に大丈夫だ」 と笑顔で答えた。 その後もあの事件に関連する会話を広げた。 できるだけ罪悪感を思い出させるような内容の。 おれはその時、探偵の指示で例の会話中の和也の声の波長を調べた。 それを専門家に渡すと、和也はあの事件にトラウマ、罪悪感が少しもなく、その代わりに少しの達成感があることが分かった。 波長は震えておらず、人間が自慢話する時のようになっていたのだそう。 普通の人間は人間の死に際を見た際、最低でも1年間はトラウマのように脳裏に残り、それは波長に現れるのだそう。 しかも、自慢するときと同じ波長がでるのは明らかにおかしい。 探偵さんも和也が殺したと言う事実はほとんど確定だと話した。 しかし、これだけでは起訴(きそ)できない。 それから5年間、おれの中では和也が犯人と決定づけられたが、警察に起訴出来なければ意味が無いので、借金を増やしながら証拠をつかもうと探偵と調査を続けた。 しかし、成果は波長によるものだけで、証拠になるようなものは得られなかった。 おれは、警察を頼らず、自分で解決(ころす)ことを決意した。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加