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懐かしいな。
一番左端にあったのは、関西にあるテーマパークの入口の前でとった家族写真。
今年は姉が受験だからと、人が混み合うゴールデンウィークに両親と姉、僕の家族全員4人で行ったときのものだ。
両手を広げ口を大きく開け笑顔を浮かべている高3の姉と、少し引きついた顔を見せる高1の僕。
人生で初めて乗った飛行機と四方八方から人に揉まれる電車に酔ってしまい、生気のないピースをかろうじて向けている。
対照的な2人の後ろには、柔和な笑顔と眼差しの父と母が映っていた。
人生にもしもはない。
だから後悔がないように生きるんだと、飲むたびに聞き飽きたセリフを吐き出す赤ら顔の父と、はいはいとその手から缶ビールをするっと抜き去っていった母を思い出す。
人生にもしもはない。
そうだとしてもさ。
写真の1週間後に交通事故で逝ってしまった父と母がもしここにいたなら、どんな表情で姉に言葉をかけるだろうか。
人生にもしもはない。
そんなことわかってる。
わかってはいるけれど、もし父と母が生きてたなら、僕も、姉も、そして2人の関係も、全然違うものになっていただろうに。
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