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ゆったりと横になれるように置かれた天蓋のついた大きなベッドに一瞬ドキリとするが、私はあえて何にも気付かなかったフリをして手前に置かれているソファへと腰かけた。
「まだ来たばっかりだけど、疲れたわ」
「ではここでゆっくり疲れを取りましょうか」
彼もベッドへは視線を向けず、私の隣へと腰掛ける。
ぴったりと体が触れる距離に座られると、このくらいの距離感はいつもと同じはずなのに私の内心は落ち着かなかった。
(それもこれも、きっと仮面で顔を隠しているからよ)
表情が見えないからだとそう結論付けて、再び彼の仮面へと手を伸ばす。
二人きりになった今ならば問題ない。そう思ったのだが、仮面に触れる寸前、再び彼が私の手を掴み仮面が外されることを防いだ。
「先にお伺いしたいのですが」
「え、な、何……?」
掴まれた手を撫でるように彼の指が動き、まるで焦らすように指が一本ずつ絡められる。
まるで恋人同士がするように手を繋がれたと思ったら、自身の指を絡めたままそっと私の手を引き甲へ口付けられた。
「どうして婚活をされるんですか?」
「……へ?」
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