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仮面から覗く赤い瞳が細められ、仮面で覆っていない彼の口角が上がっている。
だがどう見ても笑っていない雰囲気にじわりと冷や汗が滲んだ。
「で、でもその、ずっと一緒にいたし」
「血は繋がっていませんよ」
「けどそんな風に見たことはないっていうか」
(だって自称犬なんだもの!)
結婚するならば対等な関係を望んでいる私にとって、よりにもよって主従関係を結んでいる相手との結婚は想定していなかったのだ。
「もしかしてもしかしてなのだけど、貴方って私のことをそういう対象として見ていたりするのかしら」
「もしかしてもしかしなくてもずっと好きでした」
そうハッキリと断言されると、相手がジェイクだとわかっているのに私の鼓動が高鳴ってしまう。
(違うわ、この高鳴りは初めて異性に好きとか言われたからで)
そしてジェイクの顔が見えないからだ。
確信を持っていても確定ではないから、その僅かな可能性にときめいてしまったのだろう。
だってジェイクは私の幼馴染みで、昔は私が守ってあげなきゃいけないくらいの少年で、更には自称犬なのだ。
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